先輩起業家・経営者インタビュー

モチベーションエンジニアリングを世界に通用する経営手法にしたい

プロフィール

麻野 耕司/株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションマネジメントカンパニー 執行役員/EIP4期生
1979年生。兵庫県宝塚市出身。慶應義塾大学法学部卒。大学3年次にインターンシップを経験後、大学4年次にインターンシップを通じて出会ったメンバーで「EGG~世界一デカイサッカーボールをつくるイベント~」を開催。2003年株式会社リンクアンドモチベーション入社。採用コンサルティング業務、人事マネジャー、社長室マネジャーを経て、現在は成長ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の責任者を務める。

著書:「就職活動の新しい教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)
過去の出演番組:「就活TV」(BSジャパン)「愛しの仕事さま」(BS-i)「ガイアの夜明け」(テレビ東京)

 

リンクアンドモチベーションに創業期から関わり、現在は執行役員として事業の中核を担っている麻野さんに、インターン後にETIC.を通じて出会った仲間と共に世界一を目指した経験や、モチベーションエンジニアリングというサービスをグローバルに通用する経営手法にしたいというビジョン、そしてETIC.を通じて出会う仲間・コミュニティのかけがえのなさについて伺いました。

ギャル男が全盛期だったので日焼けサロンに通い、飲んで、コンパして・・・ただただ遊んでいました。
インターンをする前は、どんな学生生活を送っていましたか?また、どんなきっかけでETIC.と出会ったのですか?

インターンする前はただただ遊んでいましたね(笑)。ETICに出会ったころはちょうど遊びが終息し始めていたころですが、当時、ギャル男が全盛期だったので日焼けサロンに通い、飲んで、コンパして・・・ひたすら遊んでいました。でも、明確な目標があった訳でもないので、遊んでいてもあまり楽しくなかったです。高校生の時には、バレー部に所属して目標に燃えていたのですが、その当時、インターンをする前の大学生活は、バレーをしているような充実感はなかったですよね。「このままずっと遊んでいられるわけがないな」という将来への不安もありましたし。何かしないといけないと思っているときにETIC.に出会ったんです。たぶん「インターン」とインターネット検索して見つけたのだと思います。それが大学3年の夏ごろですかね。その後、インターンシップフェアに参加してETIC.のインターンにチャレンジすることになりました。

※ETIC.インターンシップフェアは年2回、志とビジョンを持ち、インターン生を「パートナー」として、共に、未来を切り拓いていきたいと考える40人近いベンチャー経営者・社会起業家が一同に集うインターンシップマッチングイベントです。 URL: http://fair.etic.jp/

実際にETIC.インターンシップフェアに参加して、どんな印象を持ちましたか?

すごく衝撃的でした。インターンシップフェアで出会った様々な起業家の方と直接お話させて頂いたり、起業家精神に触れたりして、とても魅力を感じましたね。それまでは想いを語ったり、夢を語ったりする大人が周りにいなかったので、非常にワクワクしましたね。その後も、ETIC.で会う人、会う人に魅力を感じていたと思います。もちろん起業家の方々もそうですが、ETIC.の方々にも魅力を感じていました。「なんでこの人たち、俺にこんなに良くしてくれるんだろうなぁ」と不思議でした。お付き合いしていくと、みんな想いを思ってやられていることがわかるんですね。そういう大人をすごいなと思いましたね。

どんなところでインターンをしたのですか?

どちらかと言うと社会の役に立ちたいという考えで、NPOであるIIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]でインターンをすることにしました。IIHOEは、「地球上のすべての生命にとって調和的で民主的な発展のために」を目的に、「社会事業家のマネジメント支援」、「ビジネスと市民生活を通じた環境問題・社会的課題の解決」、「2029年の地球への行動計画立案」に取り組んでいるNPOです。

インターンでは、NPOの共同購入のプラットフォームの立ち上げに携わっていたとのことですが、具体的にどのような仕事だったのですか?

NPOの共同購入のプラットフォームというのは、NPO団体が色々な消費財や耐久財を購入する際に、商社であれば大量で仕入れるので安く買えますが、NPOは個別で購入するので高くなりますよね。それらをまとめて購入することで安く仕入れようという仕組みを代表者の川北さんが考えていらっしゃって、ニーズがあるかどうなかなどのサービスを始める前のリサーチ段階に携わっていました。その他にデータの処理や資料作成、テストマーケティングに伺う際に議事録の作成などを任されていました。

「世界一大きいサッカーボールを作ってギネスに挑戦しよう」とETIC.で出会った仲間と動き出したのがEGGというプロジェクトでした。
インターン終了後、ETIC.インターン経験者の仲間を募って行ったEGG(エッグ。EnjoyGetGoing。世界一大きなサッカーボールをつくりギネスを目指す)という活動が、人生に影響を与えていると聞きましたが、そのプロジェクトについて教えて下さい。

まず、ETIC.に出入りするようになった事が自分にとっては大きな出来事だったんです。そこでETIC.に関わる社会人の先輩から影響を受けたことと、インターンを経験したという同じ背景を持った仲間が出来たことが大きかったです。ETIC.はインターン生向けに、講座をよく開催していて、その中の講座の1つで、成功者の共通原理を学ぶリーダーシップ連続講座があったんですね。講師が上原隆さんという方で。上原さんは、勤めていた大企業を辞めて、ドミノの世界記録に挑戦するという異色の経歴を持った方なんですけど、そのドミノの世界記録挑戦の話が講座の中でありまして、参加者みんな、その話に夢中になったんですよ。「超熱い。僕らも世界一に挑戦したい!」と目に見えない情熱のスイッチを上原さんに入れられて、仲間が結成されたんです。ちょうどその頃、サッカーの日韓W杯(2002年)が開催されたので、「世界一大きいサッカーボールを作ってギネスに挑戦しよう」とその講座で出会った仲間と動き出したのがEGGというプロジェクトになります。

夏休みに、関西からバス1台、東京からバスを3台チャーターし、計200人の全国の学生が軽井沢に集い、2泊3日の合宿形式で世界一大きいサッカーボールを作ったんです。どうやって世界一大きいサッカーボールを作ったかと言うと、協賛でいただいたフリース生地を五角形に切り、それを縫って、その中に綿を入れる。そうすると小さいクッションのサッカーボールができるんですね。それを200個とか作るんです。それで、白のボールと黒のボールをグラウンドに敷き詰めて、世界一のサッカーボールの絵となるわけなんです。作成に参加した200人は、人文字でサッカーボールを蹴る人を描くんです。それをヘリコプターをチャーターして空撮するというのがEGGのイベントでした。当時アフガニスタンのタリバン政権が崩れ、アフガン国内でのサッカーが解禁になったんです。それで、EGGで作ったサッカーボールを、娯楽がなかったアフガンの子ども達にプレゼントしようと、数名のメンバーが代表して配りに行きました。最終的にギネスは申請が大変で行わなかったんですけど、メディアの反響は大きくて、NHKの全国放送のニュースでも取り上げられましたし、地元のテレビ局や大手新聞社などでも大きく取り上げてもらいました。

一連のプロジェクトを通じて学んだことは何ですか?

めちゃくちゃたくさんのことを学びましたね。僕にとって今までの人生で一番大きな出来事の1つとして鮮明に覚えています。社会人になってからも、「あの時よりつらい事は無い」と思って仕事をすることができる、そのくらい大きな経験です。インターンを経験したとはいえ学生ですから、ぐちゃぐちゃなんですよね(笑)。ゴールデンウィーク前に活動が始まって、8月の開催1ヶ月前でも参加者がゼロで、協賛金も全く集まっていませんでしたし、企画も固まっていなくて、最初の2ヶ月はズタボロでした。その後はチームを立て直して、猛烈な勢いで参加者も集めました。参加者からも参加費をもらっていたんですよ。お金を払ってずっと波縫いするわけですから、意味わからないですよね。(笑)それでも200人程参加者を集めて、協賛金も何百万円か集めて、企画も大成功して最後は全員で号泣するようなイベントとなりました。今でも学生向けの講演でこの話をしますが、EGGのことをドラマチックに話すと20~30分かかるので今日はやめときますね(笑)

ETIC.で出会った仲間は、「このメンバーで何を生み出すか」という話になるんですよ。そういう視点があるから、なんか話が盛り上がるんですよね。

ETIC.で出会ったインターン経験者たちとは、なぜそんなに盛り上がったのですか?

一般的な学生であれば「何をして遊ぶか」という話にしかならなかったのが、ETIC.で出会ったメンバーは、「このメンバーで何を生み出すか」という話になるんですよ。きっと視点が違うからだと思うんですよね。遊び仲間も自分たちなりに想いや熱いハートは持っていると思うのですが、視点が違いますから、何かを生み出そうという発想にならない。逆にETIC.のメンバーはそういう視点があるから、なんか話が盛り上がるんですよね。それはホントにちょっとした事の差だと思います。就職活動の勉強会を自分達で開いてみようとかもそうだし、企業の協賛で映画試写会を開いてみようとか、全部が何かを生み出そうという視点でしたね。

違った視点というのは、経営者の近くでインターンを経験したからこそ持てたものですか?

ETIC.に関わるようになって、「創造者たれ」という新しい視点を持ったわけです。少し難しい話になりますが、それまでは学生生活は「消費者」として基本生活しているわけです。親から仕送りをもらって使う、遊ぶ。次のステップとしては「生産者」。何か作られた仕組みの中で働いて賃金をもらう、学生のアルバイトや社会人もそうです。でも、消費者や生産者とまったく違う「創造者」、つまり、自分で新しいものを生み出す、社会に仕掛けていくという世界があるんだということが、インターンの仲間やインターン先代表者の川北さん、ETIC.のスタッフさんなどから、得られた視点だと思います。

やっぱりその視点は、なかなか持たないじゃないですか。大学時代は遊んでいて、周りが就職活動するから、なんとなく自分も始めて、就職活動を終えて社会に出ても、既存の仕組みの中で「生産者」として働く。そういう過程の中で、自らが何かを仕掛けていくETIC.で言うとアントレプレナーみたいな視点は、普通に生活していたら身につかないですよね。人間は、知らなかったり、経験していなかったら、できないことがあると思うんです。学生からポーンとジャンプアップして、経営者だったり、社会に新たなことを仕掛けていく人の視点を色んな切り口で見させてもらえたという意味で、ETIC.での経験は良かったと思いますね。

昔、ETIC.の方に、キャリアを作るにはロールモデルと成功体験が必要だと言われたことがあって、ETIC.のインターンって、ホントその通りだなと思いましたね。ロールモデルの面では、様々な起業家と社会人に出会うことで見つけることができ、成功体験という面ではインターンを通じて小さな成功体験を積む事ができる。いきなり起業するのはかなり大変だと思うんですよ。でも人間、成功体験がなかったら、壁にぶつかった時に前に進み辛いと思うので、それを小さく積ませてもらえるのは良いですよね。僕の場合、IIHOEで新規事業の企画書を作って凄い褒められたんです。その時に、「自分でもこんなの作れるんだ」と気持ちになって、小さな成功体験を得る。ロールモデルとしては、川北さん、上原さん、ETIC.で出会った方々がそうでした。そういうロールモデルと成功体験があるから、新たな視点が持てるという部分があると思います。だからETIC.のインターン、講座を通じて、経営者、社会に仕掛けていく視点を学生時代に持てた事はとても良かったと思います。

リンクアンドモチベーションを初めて知った時に、「俺がこの事業やりたかったのに」と少し悔しい気持ちだったので、正直その当時はすぐに社長になってやろうと思っていました。
株式会社リンクアンドモチベーション(以下リンクアンドモチベーション)入社までの経緯を教えてください。

自分でビジネスを起ち上げたいと思っていたので、ETIC.の起業家の講演をよく聞きに行っていました。その起業家が商社出身の方が多いなという印象が強かったんですね。それで将来ビジネスを起ち上げるなら、商社に行った方が良いのかなと思って、商社を中心に就職活動をしていました。それで商社に内定の連絡をもらい、就職活動を終わろうと思っていた頃、ETIC.で出会った仲間がリンクアンドモチベーションを第一志望に就職活動をしていて、「リンクアンドモチベーションというすごく良い会社がある。」と紹介してくれたんです。内定が出ていたので行く気はなかったんですけど、友人が言うならと思い、ふらっと説明会に参加したんですね。それがリンクアンドモチベーションと出会ったキッカケです。履歴書も持たずに行くような生意気な学生だったのですが、説明会終わった頃には、「多分自分はこの会社に行くな。」と感じていました。というのも、僕は何か社会のために役に立ちたいと思っていながら、何がしたいのかが良くわかっていなかったんです。ビジネスを立ち上げたいと漠然と思っていても何がやりたいかわからなかった時に、リンクアンドモチベーションの説明を聞いて、「自分はこれがやりたい」と思ったんです。

それは中学、高校の時のバレーボール部の経験が大きくて、高校のチームが強くなったのは「モチベーション」だったと思うんです。その頃は「モチベーション」なんて言葉は知りませんでしたから、「根性、根性」と言っていましたけど(笑)。バレーをやっている中で、絶対に取れないと思ったボールでも毎回飛び込んで行くことで、たまに一本の指に当たってレシーブにつながるみたいな、これは気持ちの問題だと思うんですよ。そういう気持ちの部分を、中・高時代から興味を持っていました。「多分、環境次第で本人のモチベーションは変わるのだろうなぁ」と漠然と思っていたので、多くの人を活気に溢れた人に変えることができる、この仕事は面白いと思ったんです。

大手商社に内定をもらっている中で、迷いなくリンクアンドモチベーションを選択したということですか?

すごく迷いました。両親にも猛烈に反対されましたし、自分自身、少しミーハーな部分がありますから、リンクアンドモチベーションなんて本当に誰も当時知らなかったですし、不安はありますよね。友達に社名を言っても知っている人は誰もいませんでしたから。両親としても、慶応義塾大学に入学できて、商社に入社できれば子育てとしては成功だと思っていたので、反対されますよね。

そんな風に迷っている中、先輩に相談したら、「商社に行け」と言われたんです。「商社に行けば、リンクアンドモチベーションに転職ができるが、その逆は無い。つまり潰しが効く」そう説得されました。頭では「なるほどなぁ」と思っていましたが、心の中で怖い気持ちがありました。

「中学・高校ではこの学校に行けば、将来やりたいことが見つかった時に選択肢が広がるから入りなさい」と中学受験の時に言われ、大学受験も「将来やりたいことが見つかった時に、慶応義塾大学なら可能性と選択肢が広がるから入れ」と言われ入学し、会社を選ぶ時にも同じように先輩に「このまま行くと50歳位になった時に、今の仕事あまり楽しくないけど、定年まで働けば、退職金貰って老後の可能性と選択肢が広がるから」と言われる。でも、そんな可能性と選択肢の貯金ばかりして、自分のやりたいことができないまま死ぬのは嫌だなと思って、今やってやろうと決意して、思い切ってリンクアンドモチベーションに入社しました。

リンクアンドモチベーションを初めて知った時に、「俺がこの事業やりたかったのに」と少し悔しい気持ちだったので、正直その当時はすぐに社長になってやろうと思っていました。今考えればとんでもない話ですけど(笑)。

実際に入社されてからのお話を聞かせてください。

僕が入社した時は社員数80名程度でした。キャリアで言うと、最初の2年間は現場でコンサルタント、その後の5年間は管理本部で働き、5年間のうち3年は人事・採用、2年は経営企画として広報・IR、M&Aなどをやっていました。2008年の東証1部に行くまで広報・IR、2009年は経営企画的な仕事でM&Aや新規事業立ち上げなどをしていました。

去年の1年間は現場に戻り、執行役員に任命され、今のモチベーションマネジメントカンパニー(事業部)において中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティングの責任者として働き始めました。

入社してからの道のりは順調だったのですか?

業務に対するギャップはなかったと思います。ただ、自分の能力についてのギャップはありました。インターンを経験し、EGGの活動も指揮をとっていた時期もあって、自分イケてると思っていたんです。ただ、入社当時は、とんでも無くイケてなかったですね(笑)。何もできませんでした。議事録1つにしても、自分の書いた字が1つも残らないくらい訂正されていました。
そんなスタートだったんですが、入社して1年経った時に小さな成功体験を積める仕事があったんです。それは、ある製薬会社のプロジェクトで評価され、社内MVPを取ることにつながる話なんですけど。そのプロジェクトは、製薬会社さんの採用のお手伝いで、採用セミナー、説明会、内定者研修など、採用のフローを一通り任された仕事だったんですね。でも当初は、なかなかパフォーマンスが発揮できなかったです。そうした中で、毎日徹夜で準備し、最後の内定者研修を迎えたんですね。その研修の最後に映像を使って、会社の想い、DNAを伝える時間があったんですが、その映像を見終わったら、参加者である製薬会社の内定者全員が泣いていたんです。そればかりか人事の方もプロジェクトマネジャーもみんな泣いていました。内定者のアンケートでも「この会社に入るのは少し不安だったけど、今日の事を思い出せば、今後も絶対頑張れると思います。」と書いてあって、人の気持ちに火をつけることだったり、その結果として日本を元気にするという入社時の想いにしっかりと近づけているんだと初めて実感が持てた成功体験でした。

その後の管理本部の5年間は、どのような仕事をされていたのですか?

2年間コンサルタントとして現場で働いていましたが、その後管理本部に異動になります。僕としては自分のお客さんもでき、クライアントさんに喜んでもらえ、インパクトのある成功体験もできた時だったので、「このまま現場で社会を元気にしていくんだ」と思っていたんですが、会社が大きくなって採用に力を入れるために人事部を作るという話になり、代表の小笹に突然呼び出され、「人事部の立ち上げの責任者をやってくれ」という話になりました。

それで人事の責任者に任命され、学生人気企業ランキングで100位内入るというのを1つの目標にし、必死になってやりました。東京、大阪、名古屋、福岡等、採用スタッフ束ねて全国ツアーを行ったり、テレビ番組を企画したり、そのおかげもあって当時最高で38位までランキングが上がりました。

人事への異動は自分の意志ではなかったですが、入社当時、日本を元気にしたいという気持ちを持っていたので必死にやっていましたね。自分1人でできることには限りがあるんですけど、優秀な仲間を集めればそのミッションも実現できると思っていたので、使命感を持って仕事をしていました。

また、人事は社長直轄の部署だったので、上司になるマネジャーや統括部長といった人がいなくて、入社3年目位からマネジメントを経験できていた事もやりがいにはなっていました。代表から叱咤激励していただきながら、早いうちからリーダーとしてマネジメントしていくことは面白かったです。

人事での実績が認められ、社員の育成等人事全般も担当するようになり、M&Aにも関わるようになりました。それらを大きく括って社長室のような形になり、室長のような立場で仕事をしました。3年間は採用中心に担当していましたが、その後経営に近づいて行ったのが残りの2年間になります。その5年間は代表の直下で学ぶ事ができました。

モチベーションエンジニアリングという日本で生まれたサービスを世界に広がるようなサービスにすることが目標です。
今の仕事内容について教えて下さい。

リンクアンドモチベーショングループとしては様々な事をやっていますが、自分が任されているモチベーションマネジメントカンパニーとしては、組織人事のコンサルティング(教育研修プログラムの提供、人事制度の構築、組織風土の改革)を主に行っています。入社時は、採用のコンサルティングを中心に担当していましたが、現在は組織人事のコンサルティングを担当しています。これが会社の主軸事業になっています。この中でも大手企業担当の部門と中小ベンチャー企業担当の部門に分かれているんですけど、僕は中小ベンチャー向けのサービスの責任者として執行役員を務めています。

クライアントは約300社くらいです。部門としては20名くらいで運営しています。20名の職種としては営業、コンサルタント、会員制のサービスもありますので、そのサービスの営業やオペレーターもいるような感じですね。この事業部門の責任者としてサービスを拡大、発展させていくことが僕の今の仕事です。

現在、組織人事のコンサルティングを行っているということで、日本のどのような事に問題意識を持ち、今後どのような仕事をしたいと考えていますか?

モチベーションエンジニアリングというサービスをグローバルに通用する経営手法にしたいと考えています。
日本から海外に輸出するものはアニメや車など製品か大衆文化が多いですよね。でも、政治手法や経営手法などといったものは輸入ばかりなんですよ。政治手法は中国やイギリス、経営手法はアメリカばかりです。だから、このモチベーションエンジニアリングという日本で生まれたサービスを世界に広がるようなサービスにすることが目標です。行動経済学という考え方がありますが、これは心理学を用いた経済学で、2002年にダニエル・カーネマンがノーベル賞を取った考え方なんです。これは元々の経済学が人間の感情や心理の側面を捉えていなかったばっかりに、実効性の無いものではないかと言われているんですけど、経済はどうしても数理モデルにしなければなりませんから、そこに人間の心理や感情を取り入れるというのは結構難しいんです。でもそのコンセプトでノーベル賞を取るまでヒットした。行動経済学のようにモチベーションエンジニアリングは経営の中に心理学を取り入れるようなものだと思っています。経営の世界では数理モデルはあまり必要なくて、実証されれば良いんです。例えば、松下幸之助の経営哲学を立証するロジックはありませんが、松下幸之助が上手く行ったから「あれは良いだろう」となる訳です。という風に考えると、経済学よりも経営の方が心理を取り込んだ考え方を波及させやすいという事です。それを正面からやっている所は世界的に見てもないですし、モチベーション一本を専門に扱う企業は少ないですから、我々がそれを成功させようと考えています。

教育をするのならある程度経験が必要だと思うので、経営とか政治とか色んな角度から世の中をみた上で、最後は教育をやりたいと思っています。

個人としては、今後どのようなことを仕掛けていきたいとお考えですか?

自分自身のキャリアについてはなんとなく決めていて、30代で経営者になろうと思っています。今まで経営者になりたいなんて思った事なかったんですけどね。ETIC.でも「アントレプレナーは社長になることではなく、そのような働き方のことだ」と教えてもらっていて、自分自身、経営者になる柄ではないと思っていました。でも、リンクアンドモチベーションで働いた5年間、経営者の直属で働いている中で、「やっぱ経営者って凄いな」と思ったんです。経営者は人格とか能力とかあらゆる角度から試されますから。

せっかく生まれて来たからには自分の力を出し切りたいと思いますし、そのために挑戦するなら経営者はその価値に値する職業だと思っています。僕は仕事人間なので、仕事を通じて楽しまなくちゃいけないとは思っているんですけど、その中でもいろいろな仕事をし、経験してみたいと思っています。だから30代は経営者、40代は政治家、50代は教育、60代は旅行して回ろうと思っています。それが今のキャリアプランです。

麻野さんとしては、50代は教育とのことですが、教育に対してどのような問題意識を持っているのですか?

ずっと採用担当をやっていたので、色々な問題の根っこには教育があると思うんです。例えば僕たちの時の就職活動に比べたら、アントレプレナー精神を持った学生はすごく減っていると思うんですね。学生人気企業ランキングなどの調査でも、その意識が顕著に現れていて、今ランキング上位に多いのはインフラ系と公務員です。すごく安定志向です。その背景にはライブドア事件やリーマンショック等で、頑張っても報われないような風潮が少しあるんだと思います。ただ、安定志向な人達ばっかりだと日本の将来は難しいなと思っているんです。新しいものを生み出せるようにならないと、中国などの新興国に勝てるはずがないじゃないですか。大学生の時点で安定志向の人がかなり多いわけですから、その前段階を変えていかないと日本はダメになるという危機感がありますね。だからこそ初期教育を変えたいです。ただ、教育をするのならある程度経験が必要だと思うので、経営とか政治とか色んな角度から世の中をみた上で、最後は教育をやりたいと思っています。

ETIC.との出会いやインターン、また、EGGなどの学生時代の活動が今にどのように影響していると思いますか?

当時、「社会に仕掛けろ!」みたいな事をよくETIC.で言っていましたよね。それがいつも頭の中にあるんですよね。だから僕は、常に自分が何かを生み出そうみたいな気持ちで仕事をしてきたと思います。もう1つは勇気です。僕は仕事もできないですし、鈍くさいですし、だらしないんですけど、勇気はあるんですよ。(笑)度胸があるというか。難しい課題だったり、困難に直面してもぜんぜんひるまないんです。それは、ETIC.の講座で色々な起業家・経営者の方から苦労話などをたくさん聞いていたので、それに比べたら怖いものなどないという感覚が少しあるんです。それとEGGの活動のような何もないところから何かを生み出して、途中怖かったけど、成功できた体験があったから、新しい事に挑戦するとか難題に挑戦する時の心構えと勇気が人と違う気がしているんです。腹を括るスピードが他の人より早いと思います。ETIC.の講座でも、「できるかできないかではなく、やるかやらないか」と学びましたが、そういう気持ちは強いですね。

ETIC.のコミュニティで出会った仲間は麻野さんにとってどのような存在ですか?

大切な友達ですね。やっぱり苦楽を共にした仲間ですし、特に「苦」が多かったので。EGGの時は軽井沢から帰ってきて打ち上げしましたが、朝までずっと泣いていました(笑)。ちょっと口を開くと泣けてくるんです(笑)。安堵感とか達成感とか色々混じって、人生であんなに泣いた事はありません。何年経っても、その時の話でずっと盛り上がっていますね。なので、2002年のW杯の後に4年後の自分に向けてメッセージを書いてタイムカプセルを埋めたんです。それで4年後の2006年になって空けてまたタイムカプセルを埋め、さらにその4年後に集まる、去年(2010年)集まって、次は2014年に向けて書いてと、そういう事を照れずにやれる、青臭いことを言い合える大切な仲間です。

最後になりますが、麻野さんの感じるETIC.の魅力を教えて下さい。

本当にいっぱいありますね。本当に感謝していますし、本当に恩返しをしなければと思っています。その割にインターンでも全然成果を出せなかったですし。普通に大学生活送って、普通に就職活動して、普通に社会人になっても得られない視点が得られるというのがETIC.というところの魅力だと思います。それはインターンシップという仕組みもそうですし、そこに集まる人もそうです。スタッフの人もすごく気持ち良い人ばっかりじゃないですか。当時いつも不思議でした。「なんでこの人達は自分の事を気に掛けてサポートしてくれるんだろう」と。講座にしても、参加費も安いので利益も出なそうですし、誰かから褒められる訳でもないですしね。「何でここまで一生懸命やっているのだろう」といつも不思議でした。志を持ってみなさん取り組んでいるからだと、後からわかってくるんですけど、そういう人がいるのは魅力ですよね。誰しもETIC.に関わったら、一度はETIC.で働こうかなと思うんじゃないかなと思いますね(笑)。そういう人の恩があるから卒業してからもETIC.に行くんですよね。

(2011年1月取材)

本プログラムへの参加に関心がある方は、まずはインターンシップ活用セミナーにご参加ください。

(過去にインターンシップ活用セミナーに参加したことが
ある方は個別キャリアコーチングにご参加ください。)

参加者満足度98%の名物セミナー・インターンシップ活用セミナーの詳細はこちら(参加無料)