先輩起業家・経営者インタビュー

全ての人に健康の気づきを与えたい/川添高志 /ケアプロ株式会社 代表取締役/EIP4期生

プロフィール

川添 高志 /ケアプロ株式会社 代表取締役/EIP4期生
2005年3月 慶應義塾大学看護医療学部卒業。大学3年と4年に米国MayoClinicで研修を受ける中で、Retail ClinicやIn-Store Healthcareの業態を知る。在学中より経営コンサルティング会社勤務。その後、東京大学病院で看護師として勤務しつつ、東京大学医療政策人材養成講座にてケアプロの事業を構想し、優秀賞”特賞”を受賞。慶應義塾大学SEA(ビジネスプランコンテスト)で”The best new markets award”を受賞。NEC社会起業塾の7期生に選抜。現在、慶應義塾大学KEIPより支援を受ける。

 

高校生の時から医療分野での起業を志し、戦略的にキャリアを歩んで来られた川添さんに、日本とアメリカの医療サービスの違いや「健康管理を自己責任で行える社会にしていきたい」という予防医療に掛ける想い、そして現在の事業を日本だけでなく、予防医療が必要な全ての国に展開していきたいという壮大なビジョンを伺いました。

高校時代の父親のリストラをきっかけに「どういう社会変化が起きても、生きていける、仕事をつくっていける、ビジネスをつくっていける人間になりたい。」と思ったんです。
高校時代の老人ホームでの入浴介護のボランティアが、現在の取り組みのきっかけとなっていくようですが、その経緯を簡単に教えてください。

高校時代に祖父が病院に入院し、管でつながれた状態で、亡くなったんです。当時、母はホームヘルパーとして働いていて、患者さんを病院に連れて行ったり、おむつ交換や体の掃除をしたりしていたのですが、僕も高校時代にそういう仕事を知って、自分もヘルパーのようなことを経験してみたいなと思って探していたら、たまたま老人ホームのボランティアの募集を見つけたんですね。それで実際に行ってみると、結構ショックだったんです。

スタッフ1人で20人くらいのおじいちゃんやおばあちゃんを見ているので入浴の補助もたらいまわしの作業という感じでしたし、ごはんも例えば、体に麻痺がある方とか、麻痺があるのでゆっくりしか食べられないんですけど、ごはんが途中でも時間がくれば終了という感じだったんです。「もう少しゆっくり見れないんですか?」「ごはん途中ですけど、終わるんですか?」と聞いてみたんです。そうすると「人が不足しているんです。」という返答でした。それで経営を変えたらよくなるんじゃないかと思ったんですよね。

高校時代に起業するということを考え始めたんですか?

経営自体は高校時代から考え始めたんですよ。高校のあだ名が社長だったんです(笑)。父は大企業に勤めていて尊敬していたこともあり、将来自分は良い大学に行って、大企業に入って出世するというイメージを持っていたのですが、高校1年生の時に父がリストラに遭ってしまったんです。それを目の前にして、こんなあっけなく成功イメージがくずれるんだと思うと同時に、じゃあ自分はどうしようかなといろいろ考えたんです。「どういう社会変化が起きても、生きていける、仕事をつくっていける、ビジネスをつくっていける人間になりたい。」と思ったんです。それを実現できるのが起業だったんですね。「会社をつくる、ビジネスをつくっていける人」だったんです。高校1年の時に起業を志したのですが、どういう分野で、どういうサービスを提供したいというものはなく、普通に勉強をしていただけだったんですけど、祖父の入院の経験もあって、絶対に意義があって面白いだろうなと思って、高校3年生の時に医療の分野での起業を志しました。

それでたまたま慶応大学に看護の現場や政策を学べる学部ができるというのを知ったんです。僕は慶應義塾大学看護医療学部の1期生なんですけど。これは運命だなと思ったんです。

医療分野での起業を考えて、慶応大学の看護医療学部に入学されて、どんな大学生活を送られていたんですか?

医療経営の道に進むというのは決めていて、どういった医療の問題があるのか、その問題をどう経営的に解決するのか、この2つを深めようと、色々アクションを起こしていました。現場でどんなことが起きているかを知るために、看護学生として、病院、障害者施設、老人ホーム、中学校の養護教員、企業の健康保険組合などいろいろな現場を年200日以上見に行きました。それと夏休みに、看護師さんの補助として慶応の付属病院でアルバイトをさせてもらって現場に行っていました。あとは今回のご縁にもつながっていますが、ETIC.さんを通じて大学1年が終わった春休みに、在宅医療を展開している有限会社ナースケア(以下ナースケア)でインターンをさせてもらいました。

また、医療の現場も大事なんですけど、それと並行してマクロ・統計的に「どんな病気が多いのか」「なぜ病気になるのか」「今どういった制度で病院に行けてないのか」などを研究する医療政策の学生会を大学2年生の頃、創って勉強もしていました。大学から研究の奨励金といって研究費がもらえるんですけど、それで研究をしたり学会で発表したり、結構真面目な学生生活を送っていました。

具体的にインターンではどのようなことをされていたのですか?

一つは社長のカバン持ち、もう一つは、「介護の情報ひろば」というスペースをつくりました。よく駅前とかで旅行のパンフレットとか、ツアーのパンフレットを手に取って持っていくじゃないですか。それと同じで、介護の情報も市民の人達が手軽に手にとれるようになったらいいなということで情報提供スペースをつくりました。在宅医療の施設がもともと藤沢市にあるコンビニの跡地だったので、人通りが多い場所だったんです。よくコンビニで立ち読みするじゃないですか。そんな感じで施設に気軽に立ち寄れるようになっていて、パンフレットを窓際に並べて気軽に読んでもらえるようにしていました。ナースケアだけの情報でなく、藤沢市内全ての介護施設の情報を無料で提供したんですね。スタートしてみるといろいろニーズがあって、「予約はできる?」「金額はいくら?」「今空き情報どうなの?」など、そういったニーズを反映して徐々に提供する情報を増やして行きました。そのナースケアでは、約半年程、インターンを経験させてもらいました。

日本と海外の医療の差にショックを受け、日本でも、海外にも誇れるような医療サービスを創りたいと思うようになりました。
インターン後、海外にも研修に行かれるんですよね?

大学3年の夏と大学4年の夏に海外に研修に行きました。アメリカの授業や医療機関を見学に行ったのですが、日本との違いで驚くことがたくさんありましたね。

例えば、整形外科で、看護師さんが仕事終わった後、その日の患者さんの体の状態や明日はこういう処置をするなどの情報を端末に入力するんです。すると、次の日に必要な看護師さんの仕事の量が、全て算出されるんですよ。そうすると次の日に必要となる看護師さんの数が把握でき、勤務予定の人数で足りないとなると、病院全体に登録されている看護師が来てくれるんです。なので看護師さんの一人当たりの仕事量が均等になって、残業とかもほとんどないんですよね。

日本の病院は、特に大学病院だと平均で2年半くらいしか継続して働かなくて、離職率が高いんですけど、アメリカだと20年位ずっと同じ病院で働いているんです。日本のように日勤をやったら、夜勤をやらなければならないという制度ではなくて、例えば、週3日働くだけでもいいんです。要は勤務体系に多様性がある。日本だと決まった体系に沿わなければ働けない感じなんで、日本とアメリカの大きな差を感じました。

あとは、アメリカの医学生から言われたのが、「日本はソニーとかホンダとか有名な企業や業界があるけど、医療界はどうなの?」と言われたんです。そう言われたときに医療器具を製造する企業はあっても医療サービスで海外に誇れる病院(企業)はあんまりないなと思ったんですよ。それはショックでしたね。僕が研修に行ったアメリカの病院は海外からその病院で働きたくて人が来るんです。日本人、韓国人、ブラジル人と世界各地からここでプロとして働きたいと。そしてお客となる患者さんも、人間ドックだけでも良いから診てもらいたいと世界中から来るんです。日本の優秀な看護学生とかも日本じゃなくて、ここで働きたいという人が多かったんですね。それはすごいショックで。日本でも、海外にも誇れるような医療サービスを創れたらなという想いは今でもありますね。

みんなが魅力的だと感じていたのは、研修先だった病院の医療環境が充実しているというのが大きいのですか?

最新の器具が常に使われていて、教育も充実している。仕事が終わった後に絶対に30分以上勉強会などもやりますし、また新人は3年勤めると大学院に無料で行かせてもらえるんですよね。その行き先が医療でなくてもよくて、法律でもよいし、なんでもよい。医療界に戻らなくてもよいんですよ。

実は、アメリカの病院経営者の9割は医療関係の出身者じゃないんですよ。日本って、法律上医師がならなくちゃいけないんですけど、アメリカは例えばファンド出身の人とか、マーケティング出身の人とかいろんな人がやっているんです。アメリカでは病院の経営者になることが1つのステータスなんですよね。だから優秀な人が集まるんです。でも経営はシビアで、例えば、地域の住民代表みたいな人たちがその病院を評価するんです。これだけ感染症を減らしたとか、稼働率が高かったとか、医療ミスがなかったとか、そうすると経営には成果に応じたボーナスが支払われて、引き続きお願いしますというふうになる。逆に経営がダメだとクビになるんですよ。それを見ていてすごいなと思いましたね。

アメリカの研修中に現在のケアプロ事業のモデルと出会われるんですよね?

そうです。たまたま僕が住んでいた近くにウォルマートというスーパーマーケットがあって、そこで買い物をしていたんです。そしたら、そのスーパーの傍らでワクチンの接種をしていたんですよね。メニューを見てみると健康診断があったり、糖尿病の薬を出すとかあって、それが買い物中に出来ちゃうんです。アメリカでは、保険証を持ってない人が増えていて、医療費も高い。だから買い物の途中によくそういったクリニックを使うみたいなんです。それを偶然知ってこのモデルはすごいな、いつからこのモデルができたんだろうと思いましたね。

何で日本にはこんな便利なものはないんだろう、悔しいなと。日本だと検査だけでも2時間くらい待つじゃないですか。もしくは、1週間後来てくださいと言われる。それに対して絶望していたんですけど、アメリカではまったく違う光景を見たんです。それは衝撃的で、僕の人生の中でも結構大きなカルチャーショックでしたね。それでこれを日本でやろうと思ったんです。

その後日本に帰国してどうされるんですか?

アメリカ研修の際には、医療経営に関しても勉強したのですが、その際に自分に経営のスキルが足りないなと思って、大学4年次に日本で、医療専門のコンサルティング会社で働きました。マッキンゼーで働いていた方が起ち上げたばかりのベンチャー企業だったんですけど、そこで大学卒業後の社会人1年目までの約2年間経営の知識をみにつけるために働きました。

その後、看護師として東京大学医学部附属病院 に勤務します。経営の勉強と医療現場の勉強の両方が大切だと思ったんですよね。現場の本質的な問題をどう経営で解決するかを深めるために働き始めました。

糖尿病になると医療費が年間600万円掛かるんです。

「生活習慣病の予防」が川添さんのテーマとなっていきますが、その原点は病院実習だったんですか?

そうです。自分が将来やりたい分野は「生活習慣病の予防」と決めていたので、大学卒業後に勤めた東京大学医学部付属病院でも、糖尿病の病棟に配属させて下さいと入社面接の際に伝えていました。きっかけは、大学2年の病院実習の時、フリーターの35歳の人が入院していたんですけど、その次の日にその人は足を切断させられたんです。糖尿病って足とかが腐るんですけど、その後その人は、目が見えなくなっていき、腎臓も透析になったんです。その人はフリーターで健康診断なんて受けたことがなかったらしいんですけど、その後仕事もなくして生活保護になっちゃったんです。その時に、すごくかわいそうだなと思ってめちゃくちゃショックを受けました。

ただ、そのことを別の視点で捉えると、その人には医療費が年間600万円掛かるんです。生活保護を受けていたので、費用は全て税金なんですね。こんな言い方したら申し訳ないんですけど、社会的コストだなと思ったんです。こんなんでいいのかなと思ったんですよね。でもその人は自分自身で自覚症状はなく、健康診断なんて受けなくてもいいと考えていたと思うんですけど、それは社会的な問題だなと思ったんです。それでよく調べてみると、健康診断を受けてない人は日本人の半数はいるんだとわかるんです。そうすると、僕が見た35歳の糖尿病のような人が今後いっぱい現れるかもしれない。これをどうにかできないのかなと思ったんですよ。生活習慣病の予防の大切さを啓蒙できれば、僕が大学2年の時に出会った、あの35歳の人のような出来事は生まれなかっただろうと。その想いを持ってアメリカの研修に参加していたので、スーパー内のクリニックに出会った時にこれを日本でやろうと強く思ったんです。

生活習慣病が日本の社会問題だと思われているところをもう少し詳しく教えてください。

フリーターの人が検診を受けていなくて、糖尿病になるのはまだ理解できたんですけど、いろいろ調べていくと主婦の人も検診を受けていない人がすごく多いことがわかったんです。旦那さんは会社で普通に健康診断を受けているけど、自分は旦那の検診施設まで行くのが面倒くさいから行かないとか、旦那は会社から強制的に言われて行くけど、私は別に強制されていないから行かないと。でもみんな病気になって後悔しているので、結局みんな健康診断を受けとけばよかったという話になるんです。病院に2ヶ月程勤めてみて、自分の想いを実現するためには、単に病院で働いているだけではいけないなと思い始めて、マーケティングのために患者さんにヒアリングを始めたんです。問題はわかっているので、問題を解決するための課題を把握しようと、さり気なく患者さんに「どうしたら健康診断を受けましたか?」と聞いてみたらみんな親切に答えてくれるんです。いろんな立場の人がいるので、それぞれの視点で答えてくれましたね。

それだけでなく、東大の付属病院だったので東京大学医療政策人材養成講座に参加して、事業計画をつくったり、起業の準備をしていました。講座が終了する頃には、事業計画、資金など事業の準備が出来たので病院を辞め、ケアプロ株式会社(以下ケアプロ)を創業しました。

「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する。」ことを経営理念に掲げ、ワンコイン(1項目500円)で生活習慣病に関わる血糖値、中性脂肪、総コレステロール、骨密度・血圧・身長・体重・BMIなどの検査を自己採血という形で簡易でできるサービスを展開しています。

医療分野での起業になりますが、採血などの法律の問題はなかったのですか?

最初は保健所とか厚労省に行って相談していたのですが、一般的な採血を行うには、医師を雇う必要があったんです。医師を雇って事業を始めようかとも思ったんですが、医師が診察すると一人の方から最低2000円は費用として必要になるんです。それでは自分が直面したフリーターの人は救えないと思ったので、自己採血の方法を考えました。今まで自己採血は個人が家でやるものだったので、それを事業としてやるというのは前例がなかったんですが、厚労省などに行政に聞いてみたところ「自己採血は、医療行為じゃないからいいですよ。」と言われ今の事業モデルになっています。ただし、条件があって「採血の廃棄物などは感染症の恐れがあるので、専門の業者で処分すること」と「検査結果に対してケアプロ側で判断をしないこと」を守る必要があります。例えば「あなたは糖尿病ですよ」と断定できないんです。結果の判断基準の用紙を渡して自分で判断してもらう。そこは気をつけてくださいとは言われています。

経営者となっての面白みを感じているところはどのようなところですか?

やっぱり、起業しなかったらこういう経験はできなかっただろうなということはたくさんありますよね。まずはいろんな人との出会いが楽しいですね。インターン生が来るとも思ってなかったし、インターン生が入社すると思ってなかったですし。自分の大学の後輩が看護師として入社したりとか。それとお客さんとの出会いですね。20年以上検診を受けてない人で、ケアプロに検診に来て、検査してみると、あまりにも数値が高かくてすぐに病院に行ったんですよ。そしたら命は助かって、「本当にケアプロさんのおかげです。ケアプロさんに命が救われました。ケアプロさんに足を向けて眠れません。ケアプロさんのためだったらなんでもします。」と言ってくださる方もいます。お客さんと商店街で会うと「社長、お茶しよう」と言われてお茶したり。一方で、31歳で派遣切りにあった人がお店に来てくれたこともありました。その人はおしっこが止まらなくてインターネットで調べたら糖尿病の疑いがあるとわかったんです。でも保険証を持っていないから病院にはいけない。だからケアプロに来たんだという人でした。もともと僕が病院で見てきた、検診を受けないで、後悔する人たちを減らせている実感は、そういった出来事もあって徐々につかみ始めています。

僕の中では、ビジネスをやっていると言うよりは芸術活動的な要素がありますね。絵を描くときは最終的な出来上がりって自分でもわかっていないじゃないですか、それと同じで、ケアプロの事業も最初から今のモデルが見えていたわけではない。ワンコイン(500円)で出来ると最初は思って始めたけれども、収益は成り立っていなかった。パチンコ屋さんやイベント会場に出向いて、パチンコ屋さんだったり、イベント主催者から費用を頂く。そうすれば利益が出るという事業モデルも事業やりながらから考えましたし。チャリティ検診もそうですし。そういったモデルは走りながら創っていけるんだなと感じています。自分がギブアップさえしなきゃ絶対大丈夫だという変な自信が出てきましたね。そういうのは面白いですよね。

チャリティ検診について詳しく教えてください。

外資系証券会社の社会貢献室の方と話をする機会があって、何か一緒に仕事をしたいですねと話しをしていたんです。それで社内で検診イベントをやりましょうかという話になっていたんですけど、その証券会社さんは社会貢献活動の1つとして、ビックイシュー(=ホームレスに仕事を提供し、自立支援を事業目的とした企業)さんと一緒にサッカーの大会をやっていたので、それなら収益金の一部をビックイシューさんにマッチングギフト制度を使って寄付しませんかという話になったんです。社員が検診に払った金額と同額をケアプロに寄付していただいて、その寄付で検診弱者であるビックイシューの支援対象のホームレスの方々に検診を受けてもらいましょうと。これは、社員の福利厚生と社会貢献が両立できる仕組みなんですよね。自分も健康になるし、検診を受けられない検診弱者も検診を受けられる。これをチャリティ検診と呼んで企業さんとやらせていただいています。

先日ビッグイシューの方が来て検診を受けたんですけど、やっぱり問題がある方が見つかって、病院に行くことになったみたいです。

気軽に健康管理が出来る仕組みを提供して、健康管理を自己責任で行える社会にしていきたいです。
今後のビジョンとしてケアプロはどういう事業を展開していきたいと思っていますか?

ケアプロとしては全ての人に健康の気づきを与えたいですね。気軽に健康管理が出来る仕組みを提供して、健康管理を自己責任で行える社会にしていきたいです。そうすることによってみんな健康になれますし、医療費も減らせる。医療費を減らして、社会保障費がしっかりと使えるような社会にしていきたいですね。例えば、ヘルシーなものを食べている人よりも甘いものを食べている人の方が病気になりやすいじゃないですか。それが原因で病気になった場合、僕らの税金、社会保障費が使われるんですよ。そんな社会は嫌だなと思うんです。生活習慣病など、ある程度リスクを低減できることは自己責任でしっかりやっていきましょうと提案していきたいです。難病とか、交通事故とか本当に自己責任でなく費用が掛かる部分に医療費を使えるようにしていきたい。ジャンキーなものを食べている人にはたくさん税金かけていいと思うんですよね。それがうまくいっているのが環境の分野なんですよ。エコポイントとか、エコカー減税とか、エコバックとか。例えばスーパーにエコバックを持って行くとエコに気を使った良い人だと見られてステータスがあるわけじゃないですか、併せてスーパーとしては経費が削減できて、商品の割引ができる。そういうのを医療健康分野で1つでもできたらいいなと思っています。今の事業の延長で言うと検診を提供できる店舗を駅ナカなどにも展開して、3年後50店舗、100万人の人にサービスを提供できたらと思っています。そのためにはフランチャイズ展開を考えていまして、実際に香川県の高松の社団法人香川県臨床検査士会さんに「ケアプロシステム(検査結果サイトおよび顧客管理データ)」を提供しているんです。そういったことを増やしていきたいと短期的なところでは思っています。

長期的な視点で仕掛けていきたいことやビジョンなどはありますか?

長期的なビジョンは、ケアプロという名前をつけた由来が、革新的なヘルスケアサービスをプロデュースするという意味でつけたので、この世の中にある医療界の問題をビジネススキルと医療の専門スキルを使って、解決していきたいと思っています。例えば、メンタルヘルスのプロ、介護のプロを雇って僕がビジネスの部分をプロデュースする。医療問題を解決するプロ集団のようになっていきたいです。
あとは、ケアプロモデルの海外展開ですね。予防医療は世界中に必要なことなので、マーケットは「世界中だと思っています。こんなに保険制度が充実している日本でさえ、日本人の半数が検診を受けられないんですよ。しかも最近だと生活習慣病の糖尿病だと成人では6人に1人。アメリカとか、他の国でも増えているんです。東南アジアとか低栄養の国でも糖尿病とかあるんですよ。太ってなくても食べるものが炭水化物に偏っていると糖尿病になる。本人たちはわかってないでしょうけどね。

寿命が短い国って血管がぼろぼろになって死んでいくんですけど、そのぼろぼろにする原因が糖尿病とか高血圧なんですね。新興国でも同じで、ブラジルの知人が言うんですけど、最近太った人が増えて、街でランニングする人が増えていて、健康ニーズが芽生えていると。そういったところは、必要なマーケットと考えていて。そういった国で検診をやりたいと思ってもいます。日本だと医療分野は法律の壁などで参入障壁が高いのですが、もしかしたら海外でやった方がいろいろな試みが早くできるのではと思っています。アメリカに研修に行った時、医療分野で誇れる企業は日本にないと言われたことがありましたけど、将来は海外にケアプロを展開したいですよね。

いつ死んでも後悔しないように真剣に生きてほしいです。

インターンの経験が自分の人生にどのような影響を与えていると思いますか?

インターンで一番影響を受けた人がインターン先の社長だったんですよ。当時まだ19歳でしたが、僕も医療経営を志していて、その時点で看護師や医療に対する考え方、経営を知れたというのはかなり大きかったですね。「経営者っていいな、こういう生き方ってかっこいいなと思わせてくれたのがインターンの経験でした。

ETIC.のインターンシップの魅力は何だと感じていらっしゃいますか?

インターン生を受け入れる側の視点で話すと、事業にどうつながるかは別として、何かを為そうとしている人に関われることはすごく嬉しいことですね。うちのインターン生含め、学生もいろいろ悩みながら、将来こういう方向で活躍したいという仮説があって、そのためにインターンを活用したいというのがあると思うのですが、そこを全力でサポートすることが、すごくやり甲斐なんですよ。そういった青臭い機会ってなかなか無いんですよね。僕も大学にいた時は、起業のことを相談する人がいなかったんですよ。でもインターン先では、当時、僕は、金髪でピアスだったんですけど、インターン先の社長は、そんな僕でも真剣に向き合ってくれました。

そういう青臭い学生でも真剣に向き合ってくれる経営者が集まっているのが、ETIC.のインターンシップの魅力だと思います。

これからインターンをしようと考えている学生にメッセージをお願いします。

いつ死んでも後悔しないように真剣に生きてほしいです。例えば、「明日学校のテストなんだよね…。」とネガティブなことを考えている後輩がいたら、「そんなこと言っているなら勉強している場合じゃない。」と言いたいです。本音では、テストではなく、映画を観に行きたいと思っているんだったら、「じゃあ行けばいいじゃん。と思うんですよ。本当にやるべきことすら自分で把握していない人がほとんどなんですよね。それを僕は憂いているというか、「そんな人生で良いの?」と思うんです。それって本当に自分の人生なの?と、すごく思う。しっかりと、自分が生きる意味を見つめ直す機会をつくってほしいと思います。そういう機会がないと、何か物事を判断する時に、お金で判断したり、周囲の目で判断したり、他人のせいにしてしまったりして、結果的に自分が納得できなかったり、後悔してしまうんです。そうすると自分の人生に納得できないと思うんですよ。周りの人の意見に従わなくていい。自分自身がどういう気持ち、どういう価値観なのか、真剣に考えて生きていくことが素晴らしいということを伝えたいですね。

例えば、僕の場合は、「明日休みになったら、何しますか?」と聞かれたら、「仕事しますよ」と言うんです。仕事をしたいから。そういうことを言えないといけないと思うんです。ただ、そのやりたいことが何なのかは人によって違うと思います。

例えば、僕は母を尊敬していますけど、母はそんな大きな夢とかなくて、「家族を大切にする」ことがやるべきこととして明確にあって、それを粛々とやっている。それはそれで良いと思っているんです。学生時代に限ったことではないですけど、その時代に自分の方向性が見えると、その後、社会に出てぶれないでいけると思うんです。学生時代によく飲み会とか誘われたのですが、僕は行かなかったですよ。自分の志のために行ってる場合じゃないと。何かを為すためには、犠牲は必要だと思うんです。その意味ではインターンで出会う経営者は、そういう志を持って仕事をしている方々なので自分との価値観とは違うことでも、そういう人と出会うのは、大切な機会だと思うんですよ。この人は、こういう志を持って、こういう風に生きている。じゃあ、自分の場合はどうなんだろうと考えてもらいたですね。

(2011年1月取材)

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