内定後インターンのススメ

体験談

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内定後に出会った、本気で事業に取り組む「人生の先輩たち」の存在が、起業への決意や今のビジネスを支えてくれました。

プロフィール 

  • 大学:中央大学
  • 内定先:大手通信会社
  • 所属:Purple Cow株式会社代表取締役
  • インターン先:株式会社ディー・エヌ・エー

[Purple Cow株式会社概要]
「世界とはじめて仕事をする」という理念のもと、日本語で、日本人のデザイン発注者が世界中のデザイナーにデザインを依頼できるWebサービス「designclue」を展開するスタートアップベンチャー。
http://purplecow-inc.com/

本気で将来、経営者になりたいのなら普通の内定後を過ごしてはいないと思った。

―インターンをする前の学生時代、特に力を入れた活動や、将来ビジョンにつながるきっかけとなった経験を教えてください。

僕は3歳からずっとアイスホッケーをしていました。僕の地元のスケート場は日本代表選手と同じスケート場だったので、一緒に練習していて、名前を覚えてもらうくらい通い詰めていました。小学校の時、僕はクラブチームに所属していたのですが、ある日カナダでホッケーをやっていた経験がある同い年の子がチームに入ってきました。彼はもちろん英語もペラペラだし、アイスホッケーもうまくて、僕には輝いて見えました。せっかく日本でアイスホッケーをやっているなら、本場のカナダで勝負したいと思い、高校のときにアイスホッケー留学をして、カナダで2年半アイスホッケーに没頭しました。もとから将来プロのアイスホッケー選手になるというより、実家の家業を継ぎたいと思っていたので、大学はビジネスを学べる経営学部、そしてアイスホッケーも続けたかったので体育会アイスホッケー部のある中央大学に進学しました。

大学の2年生までは、部活にほとんどの時間を割いていましたが、後期に怪我をしてしまい部活を続けられなくなりました。アイスホッケーを辞めた後は、1か月半の短期インターンシップに行ってみたり、友達と大学主催のビジネスプランコンテストに出たりする中で、
より一層ビジネスに興味を持つようになりました。

―どんな想いで就職活動をしましたか?またどんなポイントで就職先を決めたのですか?

結構、僕は小さいベンチャーをメインに受けていましたね。やはり将来、実家に戻った時に経験として意味のある会社に入りたいと思っていました。社員30名以下のベンチャーだったら実家の会社と同じくらいの似た組織なので、勉強になるだろうというのと、小さければ小さいほど能動的に関わっていけると思いベンチャー中心に受けていました。一方でベンチャーから大きく成長した大企業も受けていました。その中で、新卒で入ることになった通信会社は、若くても権限を任せてもらえて、ITのノウハウ、営業のノウハウなど経営者になったときに必要な力が身に付けられると思って、就職することを決めました。

―内定後の過ごし方として、いろんなチャレンジの選択肢がある中で、なぜインターンをしようと思ったのですか。

よく社会人に内定後の過ごし方について聞くと「内定後は旅行したほうが良い」って言う社会人多いじゃないですか。あれって甘い言葉だなって思ったんです。3年時に1か月半インターンした企業の経営者に「僕は将来経営者になりたい」と相談したときに、「それって普通の人の人生とは違うよね。普通の人生を行きたいのなら、この時期、旅行に行ったりすればいいかもしれないけど、本当に経営者になりたいのなら、この時期は頑張るべきだよ、普通の人と同じことしててはダメだ。」と言われました。僕は留学を経験していたので、旅行は充実感があるけど一時だけで残るものが少ないと感じていました。しっかり一生自分の人生に残るものに取り組みたいと思い、経営者のもとで働けるインターンという選択肢を選びました。

学生感覚とはまるで違うビジネスの世界で働くことが楽しくて仕方なかった。

―インターン先を選んだ決め手はなんだったのですか?またインターン先の事業内容、インターン先での仕事を教えて下さい。

インターン先を選んだ決め手は2点あります。1点目は、インターン先の環境です。インターン先として選んだ株式会社ディー・エヌ・エー(以降DeNA)の当時の印象はすごく優秀な人たちがいて、少数精鋭でガンガン成長している印象だったので、そこで鍛えられるんだったらいいなと思いました。
2点目は、DeNAの当時のインターン募集プロジェクトと、僕の実家の家業との関連性が強かったからです。当時DeNAは新規事業として、NETSEA(ネッシー)という卸業者と販売業者のマッチングプラットフォーム事業を立ち上げていました。僕の実家が食肉卸業をやっていることもあって、対象とする顧客も共通していました。また、今後は卸業も今までのやり方で商売をしていても通用しなくなってくるから、インターネットを使って新しいチャレンジが出来たら、将来家業を継ぐ時にも役に立つと感じました。

インターン先では、最初の2か月くらいは基本ずっと電話営業をしていましたね。NETSEAの顧客の中でもバイヤーと呼ばれる販売業者への電話営業をしていました。アパレルなどの特にターゲットとなる業者に対しては個別に営業トークを変えたり、アフターフォローをしながら営業をしていました。

―インターンをしていて面白かったことや、やりがいを感じたことを教えて下さい。
当時、NETSEAにはクレジットカードの決済機能がついていませんでした。僕のインターン期間残り2か月間で、クレジットカードの決済機能を実装までもっていくプロジェクトをメインで任せてもらいました。そもそもこの決済機能をつけると、どれくらいのお金がかかるのかを計算するところから始まって、実際にクレジットカードの決済機能によって、今まで買わなかった人たちがどれくらい買うようになるのかも数字として出して、このプロジェクトを提案するところから関われたのが面白かったです。その後、実際にプロジェクトを進めてもいいという許可が出てからは、社外の取引サイトの打ち合わせや交渉の場のセッティングなど、プロジェクトが完結するまでの一連の流れにメインで関われました。

―インターンで辛かったこと、悔しかったことは何ですか?
今考えて辛かったことはあんまりないですけど、DeNAってめちゃくちゃ業務を効率化する文化のある会社なので、電話営業の仕事でも、何秒以内に次の電話をかけて、1日に何百件もかけることにこだわり続けるのは、日によっては辛かったですね。ただ、辞めたいと思ったことは1度もなくて、毎日仕事するのが楽しかったです。逆に、純粋に初めてこんなに働くという経験をしたので、日々、成長しているなってすごく感じていました。今までの学生感覚とはまるで違うビジネスの世界で戦っている人たちと一緒に働くことで、上司への説明一つでもだいたいで答えるのではなくて、具体的に数字で示せるようになりました。

クラウドソーシングを通して、日本人の働き方を世界と戦えるものに引き上げたい。

―その後、新卒で通信会社に就職されてから、内定後のインターン経験が活かされた場面はありましたか?

僕の場合はすぐにインターンの経験が活きたと思います。僕は既存の取引先への営業をする部署に配属されたんですが、研修中はいきなり新規営業をする場面もあったので、他の内定者よりも営業先のリストアップや営業トークの内容も自分だけで作れたりして、結果どんどん営業を取ってこれて、早くから成果は出せていたと思います。

―新卒で入った会社に2年半働いていたということですが、その中で印象に残っている出来事はありますか?

入社して1年半経った時に参加した社内コンペがかなり印象に残っています。会社の「新30年ビジョンを創る」というもので、社内でもそのアイデアを募集していました。まずこれからはこういう社会になっていくという話をしなくてはいけなくて、当時『フラット化する社会』という本を読んでいて、組織より個人がどんどん尊重されるような社会になっていくと思ったんです。そうすると、例えば、オンライン上でロシアの起業家が「僕こんなアイデアがあって、こういうプロジェクトをしたい」と言った時に、それに共感して参画したいと思うアメリカのグーグルのプロジェクトマネージャーでプロマネが出来るから参画しますとか、日本企業のマーケティング専門の人も自分も参画したいと思えば参画できる。そういう個人のニーズがつながることで一瞬でプロジェクトチームが出来て、最短でプロダクトができる時代がやってくるんじゃないかというプレゼンテーションをしました。

結果、社内コンペのプレゼン大会で、僕も決勝に残れて、優勝は出来なかったんですけど、それを見た役員の方が「君、面白いね」って言ってくれて、「今度お客さんとアポがあるから君来る?」って誘ってくれました。本当にすごい方々の商談とかに僕一人、隣に座らせてもらったり、創業経営者の2代目3代目の経営人材を育成することを掲げていた社内大学に選抜してもらったり、すごく良い経験でした。

―会社を辞めて起業に踏み切ったきっかけは何ですか?

決定的なきっかけは2つありました。僕が所属していた社内大学には、社内生と社外生、共にいて、その両者を比べたときに雲泥の差で社外生の方が優秀だったんですね。社外生の中には20代の経営者とかも多くいて、このまま社内に残っていても、この社外の優秀な経営者の人たちには届かないなと思ってしまいました。それがきっかけで独立することを本気で意識し始めました。
もう一つは、そういう風に会社を辞めて起業するかどうか悶々としていて、ちょうど転職活動を考えていた時に、ETIC.でインターンをしていた時にお世話になった株式会社マジカルポケットの平田社長が声をかけてくださったことが大きいです。僕は転職の相談をしたんですが、平田さんには「甘いんじゃないか、経営者という立場は特別だぞ」と本当に多くのアドバイスをくれました。その時はいろいろ言われすぎて何を言われたか覚えていないくらいにとりあえずショックで、衝撃が強かったんですけど、「今の自分じゃいかんな」と思って、そこからは、なんとか独立できる手段はないかと考え始めるようになりました。

―起業を決意されてからはどんな行動をされたのですか?

まずは、社外の事業プランインキュベートプログラムを調べ始めました。起業前提で、よさそうな起業家・ビジネスプランに対してお金を出してくれるプログラムがいくつかあって、そこから創業資金を調達できないかと考えて、ビジネスプランを具体的に練り始めました。その時のプランは、入社1年半の時、社内コンペの『新30年ビジョン』で考えた理想の社会から落とし込んだコンセプトが基になっています。あるビジネスプランコンテストで、最優秀賞を頂いて、金銭面でも投資をして頂くことになりました。

―今はどんな事業内容で経営されているのですか?

事業内容は、デザインのクラウドソーシングのサービスを運営しています。これは、日本のデザインを発注したいクライアントと、世界中のデザイナーをマッチングするようなプラットフォームです。
最初は『新30年ビジョン』で発表した、プロジェクトを世界中の人でシェアをするプロジェクトシェアリングの形を理想としていたのですが、なかなか現状では難しいという話になりました。だったらブレイクダウンして最初は特にデザインに特化して、簡単なロゴデザインなどから初めて、最終的にプロジェクトシェアリングで一つのプロダクトが完成できるようなプラットフォームを創れればと考えています。

―今の事業を今後どのように発展させていきたいと考えていますか?

僕らが絶対、重要視しているのは、社会に本当にいいものとしてインパクトを与えたい、人の生活を良くするものしか絶対にやらないというのは、ずっと思っています。この事業をすることで、日本の発注するクライアントさんには今よりも安く質の高いものを提供できるので、結果的に選択肢も増えます。日本人は語学の壁があって、世界中のリソースやクラウドソーシングを有効活用できていないと言われているんです。世界中では既にクラウドソースを活用した働き方が生まれているのに、こういうグローバルスタンダードになっていく働き方が出来ないと、日本は世界にはついていけないと思っています。僕たちの事業にはそのデメリットをなくすという社会的価値があると思っています。日本で普通にやろうとすると30万かかるような仕事が、クラウドソーシングのプラットフォームを使い、バーチャルでプロジェクトメンバーを持つという働き方をすれば3万円とかでできちゃう。今の日本人の働き方だと、世界と全然戦えないので、そこを僕らは解決したいと思っています。

インターンを通して人生の先輩に出会えたことで、起業したいという想いを持ち続けられました。

―内定後に行ったインターンが、起業や今のビジネスに与えた影響はどのようなものですか?

まず、僕の会社のビジネスモデルは、インターン先のビジネスモデルにかなり影響を受けていますね。無意識的になんですけど、最初に仕事を経験した会社のビジネスモデルって刷り込まれるから、起業してもビジネスのあり方はかなり似てくるんですよね。そういう意味でもかなり影響を受けていますね。

あとは、インターンやETIC.を通じて出会った人たちに大きな影響を受けています。大学3年の時に1か月半インターンしたときの社長や、DeNAインターンの上司やマジカルポケットの平田社長など、本気で事業を推し進めている人たちにたくさん関われたことが大きいです。今でも定期的にその人たちに会って、気持ちを入れ替えることで、一度会社に就職してからも飲み込まれず「起業をしたい」という本当の自分の気持ちを持ち続けられたと思います。内定後にベンチャーでインターンをしていたことで、入社してからも自分の中で「起業」という夢をずっと意識し続けられることができましたね。自分の成し遂げたいビジョンを持ち続けるには、ETIC.のインターンシッププログラムで出会えるような「人生の先輩」、大学の先輩レベルじゃない10歳20歳上の人と兄弟みたいな関係になることが大事なんじゃないかと思います。

―これから内定後のインターンを考えている人にメッセージをお願いします。

仮に起業しようとか、成し遂げたいことがあるのなら、それを実際にやっている人と本当に仲良くなって、完全にベンチマークしていけるような人を見つけていくべきだと思うんですよ。インターンシップのプログラムってETIC.の他にもたくさんあったりするじゃないですか。でも中途半端なところに行くのは良くないと思っていて、行くからには厳選された良い企業に行ったほうが良いし、優秀な経営者についた方が良いと思うんですよ。そういう意味で、ETIC.は志の高い経営者がいるインターン先しか受入れていないから、安心して行きやすいと思います。そこで半年以上インターンをして、その中で人生の先輩を見つけてずっと兄弟みたいな感じになって、インターンが終わった後もそういう関係を築けられる「人生の先輩」を見つけるといいんじゃないかと、僕は思います。