内定後インターンのススメ

体験談

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ソーシャルセクターの世界がより明確なものになりました。この世界を覗き込めたからこそ、これから自分がどんな力をつけていきたいのか、どう関わっていきたいのか、改めて考えることができました。

花角紀子 さん

  • 大学:立教大学
  • 内定先:大手IT系企業
  • インターン先:NPO法人かものはしプロジェクト
  • 仕事内容:インド事業部 リサーチ

 ◆内定後インターンをする以前で学生時代、特に力を入れた活動や将来ビジョンにつながるきっかけとなった経験を教えてください。

中学生の頃から外交官として国連に入りたいという憧れがありました。なので、大学入学後、模擬国連というサークルに入りました。しかしこの活動を通して世界で起きる問題を次々と知る中、「その現実を自分の目で見て感じていきたい」「現地で自分が手足を動かして何かできることをしたい」と思うようになりました。

そこから難民支援の学生団体に入ってタイの難民キャンプを実際に訪れたり、長期休みには各国の孤児院でのボランティア活動に参加したりしていました。この時からNPO/NGOとの関わりが多く関心はあったものの、ボランティアというものに対しては、”一方的”、”継続性”という点から疑問も同時に持ちました。

学生時代は自分の中でこれだと思ったらすぐに行動に移す、というということを繰り返していたのでひたすら動き続けていたような気がします。これらの活動を通して出会った現地の人々、ともに活動してきた仲間というのはすべて私にとってかけがえのない存在であり、すべての経験が自分が将来やりたいことへの大きなモチベーションになっています。hanazumi

◆どのような問題意識や将来ビジョンを持ち、どのような就職活動をしましたか?結果、なぜ今の内定先に決めましたか?

「機会の格差をなくし、より多くの人に可能性を与えたい」「社会課題の解決ができる人間になりたい」という思いを軸に就職活動していました。生まれた環境によってこんなにも人生が変わってしまうのか。それが途上国で活動する中で湧いてきた大きな疑問でした。その中で社会課題に対するICTソリューションが持つ幅広さや可能性に魅力を感じたことからIT業界を中心に見ていました。そして今の内定先で自分と同じような思いを持って仕事をされている方々に出会えて、こういう人たちがいるところで働きたいと思えたことが大きなきっかけでした。

また、「営利と非営利の世界どちらの視点も持った人間になりたい」という思いもありました。社会に貢献したいという思いやミッションは企業もNPOも同じ。ただ営利を追求するかどうかで手法が変わってくる。社会課題を解決するという強いマインドを持ちながらも、多くのNPOが持続可能性を課題としている。企業は営利を求めないといけないという壁はあるが、その分、持続性、効率性や組織の運営において長けている。そう考えた時にそれぞれが持ついいところを活かした形の国際協力ができたらと思っていました。だからこそ将来的にはどちらの世界も経験することで自分の視野を広げたいと考えていました。

 ◆内定後の過ごし方として、数ある選択肢の中から、なぜアントレプレナー・インターンシップ・プログラム(EIP)に参加しようと思ったのですか?

正直迷いました(笑)留学に旅行に・・・やりたいことは本当にたくさんありました。実はETICの存在を知ったのは大学3年の時でした。結局その当時は学生団体の活動に力を入れていたのでやめてしまったのですが、その後もそれがなんだかずっと気になっていて。その中で最終的にインターンをしようと決めた理由は2つありました。

1つは「自分の将来のビジョンを明確にしておきたい」という思いでした。2つめは「社会起業やソーシャルビジネス、NPOの世界を知りたい」ということです。もともと就職活動中から、企業でスキルを身につけたらソーシャルセクターに戻ってきたいと思っていました。でも正直なところ自分でも不安だったのです。会社で働き始めたら自分が今抱いてる思いを日々の業務に追われて忘れてしまうのではないか?そもそもソーシャルセクターで働いたこともないのに本当に自分はそこで働きたいのか?途上国の課題解決のために将来自分は何ができるのか?内定後にそんな問いが自分の中でぐるぐるしていました。自分は会社でどんな力を身につけたいのか、ソーシャルセクターで働くってどういうことか、そこにはどんな人たちが働いているのか、これらの疑問に対して自分なりの答えをもってから会社に入りたいと思いました。

そのためにベストだったのがインターンでした。そしてポイントだったのが「長期」という点でもありました。社会人になる前に最後に自由でまとまった時間をとれるのはこの期間しかない、そう思った時にこの期間に1つのことに全力で打ち込みたいと思いました。そして短期でやるよりも長期の方が身につくことも見えてくる世界も違ってくるだろうと思ったからです。

◆インターン先を選んだ決め手、インターン先の事業内容、インターン先でどのような仕事を行ったかを教えてください。

かものはしは子どもが売られる問題の解決をミッションに掲げ、主にカンボジアで12年間とインドで2年間活動を行っているNPOです。国際協力の分野であること、かものはしのミッションに対する姿勢に強く共感をしたことが決め手でした。

私はインド事業部のインターン生として、現地パートナー団体に関するリサーチを行ったり、日本で専門家からのヒアリングを行ったり、戦略を立てていく段階での情報収集とそれらの可視化をするお手伝いをしていました。

◆インターン期間中にやりがいを感じたこと、感動したことを教えて下さい。はなずみ1

インターンをしていた日々そのものが私にとっては刺激的で多くの発見があり、やりがいを感じるものでした。また今となって思えば、良い意味で「やることが決まっていなかった」ということがおもしろく、そこにやりがいを感じていたのではないかと思います。

インド事業部のインターン生として初代であったということや、インド事業自体がかものはしの中でも活動の最前線であり、戦略をつくる段階だったため、日々大量に新しい情報が入ってきたり、状況が変わったり。そのため、私がやっていた仕事はルーティンというものがほぼなく、仕事の7割近くはその場で任されたりするものでした。様々な仕事を臨機応変に行っていくということは非常に楽しく、やりがいがあることでした。

またインターン中の1番の思い出は、かものはしの幹部出張に同行して3週間ほどインドの現地に行かせていただいたことです。自分の仕事の先にいる被害者の子や共に仕事をしている現地のパートナー団体に直接会ったことがなく、人身売買問題が起きているその現場を肌で感じたことがなかった私は現地に行きたいという思いが強くありました。その思いを上司が汲み取っていただき、インターン中にその機会をいただけたのです。出張中の2週間は毎日朝から晩までみっちり現地のパートナー団体とのMTGと視察。自分の目の前に被害者の子がいる。目の前に売春宿がある。数日前に起きた事件の情報が飛び込んでくる。目の前で戦略に関する議論が起きる。とてもとても濃い時間でした。活動の最前線を自分の全身で感じることができたことは、鳥肌が立つほどの貴重な経験でした。自分が普段やっていた仕事がすべてここに繋がっていたのだと思うとさらにモチベーションも上がりました。

◆インターン期間中で辛かったこと、悔しかったことを教えて下さい。

インターン開始2ヶ月目くらいに仕事がうまくまわせておらず、迷惑をかけてしまったことがありました。大学のゼミとインターン出張前で忙しさがピークになり、いっぱいいっぱいになっている自分がいたのです。当時上司や同期インターン生に相談する中で、自分はその仕事の先にいる相手のことや団体の方向性を考えられていなかったことに気づかされました。

その時に学んだのが仕事それぞれへの重きの置き方でした。その時私はすべての仕事にがむしゃらに取り掛かかっていました。しかしただそうやるのではなく、今団体にとって何がどれくらい重要なのか、自分がやるべきことは何なのか、重要度と緊急度をよく考えて仕事への重きの置き方を変えていく。例えばMTGの議事録ひとつにしても、このMTGは誰のため何のために開かれていて団体の今後にどのような影響を及ぼすのか、それによって議事録の取り方も変わってくる。

この当たり前に考えるべきことが出来ているつもりで、出来ていなかったのです。このことに気づくことができてから自然と周りのことがよく見えるようになってきました。1781875_473102559455925_836333776_n

◆ETICを通じてインターンをしている他のインターン先の同期の仲間や、挑戦を支えてくれたOBOGのメンターはどういう存在ですか?

EIP同期は「本音で語り合える存在」であり、「刺激し合える存在」でありました。自分とは別の世界でインターン経験をしている同期の話を聞くこと自体がとても興味深かったです。そして自分の弱みやぶちあたっている壁、価値観や将来の夢、そんな話を真剣にさらけ出して語り合うことができる仲間というのは普段の生活では出会うことがない、本当に貴重な存在でした。

またOBOGメンターは「自分に足りなかった視点に気づかせてくれる存在」でした。月1で5,6人で行なうメンタリングでは、自分が抱えている課題に対して常に親身になって聞いてくださり、私にはない新たな視点をいつも投げてくれました。それがきっかけでマインドセットもうまくできるようになったと思います。

◆EIPのカリキュラム(研修合宿・メンタリング・講座)はあなたの成長にどんな影響を与えましたか?

インターン期間中の合宿やメンタリングというものがあったからこそ、私はこのインターン経験をより良いものにできたのではないかと思います。インターン中は仕事があってなかなか1人で振り返る時間をつくれずにいました。しかし合宿やメンタリングを通して「時間を確保すること」と「他人からのフィードバック」というものを得ることができ、自分とより深く向き合うことができました。その結果から学び、次の行動に活かしていけたというのはEIPのカリキュラムのおかげでした。

 ◆EIPに参加する前と修了後の自分を比較したときに、変わったこと、成長したと思うことは、どんなところですか?またEIPの経験は、あなたの将来ビジョンや仕事観にどんな影響を与えましたか?

「自分という人間について知った」どんな人間に見られているのか、どんな仕事をするのか、どんなことにわくわくするのか、得意なこと、不得意なこと・・・こんなに自分と向き合うことができた期間は今までなかったと思います。自分を知って、弱さを含めてありのままの自分をすべて受け入れる。このことの難しさを実感したと同時に、これができて初めて人として大きな価値を出せるようになるのではないかなと思いました。

 またEIPの経験を通して、私の中でソーシャルセクターの世界がより明確なものになったことが大きいです。この世界を覗き込めたからこそ、これから自分がどんな力をつけていきたいのか、どう関わっていきたいのか、改めて考えることができました。

◆これから内定後のインターンを考えている人にメッセージをお願いします。

卒業までの最後の自由な時間。自分は将来何がしたいのか。どんなキャリアを歩んでいきたいのか。これを少しでも明確にもって社会に出る人とそうでない人とでは、日々の過ごし方からきっと大きな差がついていくのかなと思います。もちろんインターンというのは選択肢の1つでしかないと思います。何に使うかはそれぞれですが、とにかく何かに本気で打ち込むということをしてみてほしいです。ただ見聞きしたものではなく、本気で自らが打ち込んだ経験からの学びは、きっと一生忘れることのないものになるからです。自分の気持ちが少しでも揺れたら、何かしらの行動に一歩踏み出してみてください。