休学インターン体験談

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私はインターン最後の日、「今この瞬間に死んでも構わない。」と思えるほど幸せでした。

東 輝実さん
関西学院大学3年次を休学
インターン先:株式会社トビムシ baitenプロジェクト

「仕事とは?働くとは?」と「都会と地方を結ぶ仕事をするためには?」この二つを両立して考えられる選択肢がインターンでした。
なぜ休学しようと思ったのですか?

とにかく、インターン予定先のインターン内容がとても興味深くて「絶対これ、やりたい!!」と思えたことが、休学という選択をしたきっかけだと思います。休学を決めたのは、インターンに参加する準備を進める段階でした。私は「地元で子育てをしながら、かっこいい仕事をする」ということが夢で、その方法を模索していました。そして、都会と地方を結ぶ仕事をしたいと考えており、地方に携わりながらビジネスをしている企業での仕事を経験してみたかったし、都会の人々のニーズも知りたいと思っていました。それを実践できるのが、今回のインターン先でのインターンでした。

休学という選択まで至ったのは、自分の夢と真剣に向き合えるこの時期に、1年間という時間をあて、没頭したいと思えるほど魅力的なインターン内容とインターン先に出会えたことが大きかったのだと思います。

休学をすることに、迷いはありませんでしたか?

休学することへの戸惑いはありました。家族への負担や、自分の将来の選択として、本当に休学という選択が今必要なのかということも、何度も自問自答しました。しかし、私はインターンの内容にとても惹かれていたし、学生時代にしかできない経験だし、インターン内容と将来の夢との繋がりも見えていたので、休学を選択して臨みました。

休学をするにあたり、何がハードルになりましたか?また、それをどう克服しましたか?

一番は家族への負担です。私の休学という選択は、家族にとっては予期せぬ出来事でした。しかし、自分の中で休学する理由を明確にした上で、両親と話し合い、お互いに分かりあえたので、最終的には休学してインターンに参加することとなりました。

休学中のチャレンジとして、なぜインターンを選んだのですか?

当時私が特に疑問だったのは、「仕事とは何か」ということと、「都会と地方を結ぶためには何が必要か」ということでした。この2つの疑問への完璧な解答がなくとも、自分なりの答えを見出した上で今後の方向性を決めたいと思っていたので、その疑問を解消するために学生時代から仕事とは?働くとは?ということを考えながら経験を積めるシステムが、インターンだったからです。

インターン先、インターン先の事業内容、そこで取り組んだ仕事を教えて下さい。

インターン先は「株式会社トビムシ」です。森林コンサルティングを主幹事業としており、林業という切り口で地域再生をビジネスを通して行っている会社です。私のインターン内容は、トビムシが新たに設置した地域ショップ「baiten」の運営です。baitenは「地域と地域、人と人を結ぶ」をコンセプトに、一つ一つにストーリーがある雑貨やフード等の商品を販売するお店です。私はここで接客や店舗のレイアウト、財務関係のお仕事に携わらせてもらいました。

「学生だから」という言い訳は通用しない。逃げ道を断ってインターンに集中できる、それが休学という選択肢でした。
インターンをしていて面白かったことや、やりがいを感じたことを教えて下さい。

「baitenは、トビムシの想いに共感する人たちが集まる共有地(コモンズ)であり、それぞれの地域の情報発信基地である。」というのが、インターンを始めるにあたって、トビムシの代表から聞いていた将来のbaitenの理想形です。私はこれを実現するため、お客様にただ単に商品を販売するのではなく、その商品がどんな人に作られて、どうしてbaitenで販売するようになったのか等、商品の背景にあるストーリーを丁寧にお客様に語ることを重視していました。その結果、1年経った今では少しずつ常連のお客様も増え、最初はふらりと立ち寄っただけのお客様が、お話していく中でデザイナーさんだとわかり、店内改装の際にデザインを手掛けてくださるなど、お仕事も一緒にできるようになりました。店舗運営だからこそ、一期一会を感じられる毎日を送れたと思います。いろんな人に出会うことが刺激的で本当に楽しかったし、その方たちを裏切らないようなお店づくりをしていくことが私の課題でしたし、やりがいでした。

インターンで辛かったこと、悔しかったことは何ですか?

立ち上げ段階から携わらせていただいたこともあり、商品仕入れから値付け、店舗レイアウトや広報等、店舗運営に係る全てのことに携わったのですが、ほとんどが初めてのことばかりで戸惑い、どうしていいかわかりませんでした。また、財務書類の作成や交渉等がとても苦手で、トビムシ社員の方に多大な迷惑をかけることがありました。「自分はなぜこん何もできないんだ。」ということで悩み、自信をなくし、なんの取り柄もない自分が情けなくてしょうがなかったです。しかし、トビムシ社員の方々が「何もしないよりも、失敗した方がいい。失敗できる時に、失敗しなさい。そして失敗から学びなさい。」という言葉でいつも支えてくださったことと、毎日のようにお店に来てくださるお客様が居てくださったので、続けることができたと思っています。

学校との両立ではなく、休学して臨んだからこそ、よかったことはなんですか?

言い訳できないことだと思います。勉学に励むのが本来の姿な学生にとって、学校を優先させることが第一です。休学をすれば、そういった「学生だから」という部分がなくなります。「学校の授業の関係で…」等の言い訳はする必要がないし、できません。逃げ道を断つという意味で、よりインターンに集中できると思います。

インターン前は、仕事はただの生活の糧だった。でもインターンをして、仕事を自らのやりがいと繋げる生き方が、とても豊かに見えました。

インターンで得たことや、インターンをする前と後で自分が大きく変わったことはなんですか?

自分が「やらなければいけない」という状況の中で、それをどう受け止め、解決策を考えて実行していくか。インターンの中では、毎日がそういった状況の中での試行錯誤でした。そのプロセスを何度も繰り返していく中で、新たな視点を得られたり、また別の課題が見えたり…。試行錯誤し、実際に行動に移した先には多くの「発見」があることをインターンで実感しました。

また、生き方や仕事に対する価値観にも変化があったと感じています。いろいろな人たちの生き方にふれることは、自分の中で勝手に設けてしまっている価値観を、全く違う視点から見つめることができます。私がインターン期間中に出会った方々は、自分が好きなことを突き詰め、それを仕事に結びつけている人がたくさんいらっしゃいました。その人たちは、大変そうな時もあるけれど、生き生きとしていて毎日が楽しそうでした。私がインターン前の就職活動中に社会人の先輩から聞いていた「仕事はただの生活の糧」というだけではなく、決して経済的に安定的だとは言えないにしろ、自分が好きな環境で、仕事を自らのやりがいと繋げて生きている方々が、とても豊かに見えました。そういう方々に囲まれていると、自然と自分にとっての本当に好きなものは何かを考えるようになっていました。その中で私は、たくさんの人たちと笑いあえる時間が自分にとっての幸せを感じる生き方、働き方の価値観なのではということに気づき、それを実際の仕事や生活と結びつけるための生き方を今、思案しているところです。

休学を考えている人にメッセージをお願いします。

休学すること自体は、簡単です。でも、その前に、休学して何をしたいのか。休学期間が終わってからの自分は、どんな風になっていたいのかを明確にしてから臨むと、より有意義な時間が送れると思いますし、挫けそうになった時の支えになります。休学することも、休学して何をするかも自分次第です。

私は最後に店番を務めた日、閉店した瞬間に「今この瞬間に死んでも構わない。」と思えるほど幸せでした。それほどインターンの1年間は、初めて経験することに苦労しながらもワクワクし、大学生活の中では出会うきっかけすらなかったような、素敵な人たちに出会うことができました。経験や人との出会いはお金では買えないもの。私にとって大きな財産です。まずは、自分がその選択で納得できるかをじっくり考えてみてください。

(取材:2011年3月)

東 輝実さん

PRIFILE

  • 所属:関西学院大学4年(3年次を休学してインターン)
  • インターン先:株式会社トビムシ baitenプロジェクト
  • インターン期間:2010年3月2日~2011年2月28日
  • EIP13期

[株式会社トビムシ baitenプロジェクト概要]
森林コンサルティング事業を主幹事業とするトビムシの新規事業。バイテンは、東京・秋葉原の一角にあるアートセンター3331 Arts Chiyoda (旧練成中学校)の1Fにあり、「全国の地域と都市がつながる場所」をコンセプトに、一つ一つにストーリーがある雑貨やフード等の商品を販売を展開する。

株式会社トビムシ
http://www.tobimushi.co.jp/

baiten
http://baiten3331.jugem.jp/