経営者による休学インターン推薦の言葉

社会の最前線で活躍する経営者・起業家から休学インターンに興味を持っている皆さんに、熱い応援メッセージを頂きました!

『秋入学も良いが、そもそも大学は4年ではなく5年行くべきである』

NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎 弘樹氏

若者を成長させる最大の食べ物は、挑戦だ。僕はそう信じている。 大学時代というのは、その挑戦を好きなだけ食べられるテーブルについている 時間だ。

挑戦なんていつだってできるじゃないか?君はそう言うだろう。しかし、それは違う。社会人になり、私たちは様々なものを背負う。会社のルールだったり、先輩の顔だったり、住宅ローンだったり。

そして人々は言うのだ。「いつか挑戦しよう」と。「もっと経験を積んだら」「もっとスキルが身についたら」「もっと○○」。しかし多くの場合、そのいつかはやってこない。リスクが怖い、と人は言う。

では大学の時に挑戦するべきだ。なぜ?

それは大学生にリスクなんて無いから。失敗しても、成長の糧になる。こけても借金を背負うわけじゃない。恥だってかいても許される。しかも今の大学生には、僕達の時代になかったものがある。

「休学」だ。

大学生という身分でいながら、挑戦にフルコミットできる。こんな良い機会、使わないでどうするんだい。

僕の時代には、休学しようが大学は授業料を求めてきた。親にこれ以上の迷惑をかけられないと思った僕は、大学はそこそこに、挑戦をした。そして大学在学中にITベンチャー経営者になった。ITベンチャーは天職ではなかったけれど、あの時の経験があったから、今NPO経営者として100人の従業員を食わせていけているのだと思う。

でも今は、多くの大学が休学中の授業料を減免してくれる。(国立は全額免除、私立でも例えば早稲田は在籍料5万円だけ。)なんていう時代の変化だろう。あと10年遅く生まれたかった。挑戦し放題じゃないか。

大学の頃に、週5で一つのことに打ち込んで、キャンパスでは得られない濃密な経験のシャワーに打たれた後に、君は君であって、君でないものになっている。狭かった視野は広がり、目線はあがり、自分の中にどれだけ素晴らしいものが埋まっているか、気づくだろう。

その可能性の扉を開けて欲しい。

駒崎 弘樹氏

PRIFILE
学生時代にITベンチャー社長を務めた後、25歳の若さにして、「保育の闇」 と言われている「病児保育問題の解決」のためにNPO法人フローレンスを立ち上げる。「子育てと仕事そして自己実現のすべてに誰もが挑戦できるしなやかで躍動的な社会」を創ることをビジョンに掲げ、病児保育問題という切り口で、地域と共に働き方改革・ワークライフバランスを社会全体に仕掛け続けている。社会起業家の先駆け的な存在であり、ソーシャル・ベンチャーの旗手として各方面から期待されている。これまで、立命館アジア太平洋大学・大分大学・東京大学・東北大学など、休学インターン生を積極的に受け入れている。

 

『敵を知り、己を知り、志を育む』

株式会社LITALICO(旧社名:ウイングル)代表取締役 長谷川 敦弥氏

私は岐阜県の笠原町という人口1万人の町で生まれ、小中高とずっとそこで育ち、その後名古屋大学に入学しました。大学2年生の頃に、自分の人生をどういうものしたいか考えはじめましたが、当時は周囲から「教師になってみたら?」「トヨタに入ってみたら?」とよく言われていました。
その時に感じたのは「自分の人生を、勘で選ばなければいけないのか?」ということ。

社会が何なのかも知らず、自分が何者なのかも分からない。そんな状況で、人生で最も大きな決断の一つを下せと言われるのは、「お見合い写真だけ見て結婚を決めろ」と言われることと同じだと感じたんですね。

今は結婚の前に交際期間があるというのが普通の社会になりましたが、一昔前はそんな交際期間はほとんどなかったようです。一度だけお見合いしていきなり結婚とか、親の談合で結婚が決まり本人同士が会うのは結婚式が初めて、というのが常識だった時代もあったわけです。今となっては信じられないことですよね。
もしその時代に、「まずは交際してからじゃないと結婚は考えられません」という至極まともなことを言おうものなら、「お前は親の顔を潰す気か」「親にこれ以上心配かけるな」と怒鳴られていたのではないでしょうか。

私は学生時代は、人生の志、戦略、計画を練る大切な期間だと思います。そのために休学をして1年や2年の時間を自分に投資するなんて、ごく当たり前という感覚でしたし、実際にその通り行動しました。
例えば、1日の仕事時間が8時間とすると、無計画に仕事を開始しだらだらと8時間働くよりも、最初の30分間を1日の目標を決めたり計画を考える時間に当てて、残りの7時間30分を計画的に働いたほうが、結果的に充実した時間を過ごせます。 単純計算ですが、持ち時間の1/16程度は、戦略を考えたり計画を立てる時間に使ったほうが良いということです。

これを人生に置き換えると、定年までの40数年間のうちの当初2年~3年は、志を育んだり戦略や計画を考えるための期間とするほうがむしろ効率が良いということになります。

これは以外と知られていない事実かもしれませんが、ソフトバンクの孫正義さんが日本で創業されたときも、実はいきなりは事業をスタートさせていません。創業後の1年半はなにも事業をやっておらず、ひたすら多くの分野のリサーチ、分析、ビジネスモデル検討、戦略立案に時間を投資していたのです。
感覚的に捉えると、1年半もの長期に渡って志や戦略のみを考えているのって、とても恐いことですよね。でも、冷静に考えてみると、敵を知らず、自分を知らず、戦略を考えず、勘に頼って進むことのほうがずっと恐いことだと私も思います。

それでは、学生時代に志を育んだり、戦略を立てるためには何をすればいいのか。

私の場合、大学2年生の時に「まず社会がどういうものなのか知りたい」「自分がどういう人間なのか知りたい」と漠然と感じました。そして「企業で真剣に働き社会をぶつかってみたい」「理想と現実の壁に追いやられたとき自分はどう行動する人間か知りたい」と考えた結果、東京のIT企業でのインターンを選びました。

今思えば、『孫子の兵法』で言う「敵を知り、己を知れば…」を実践しており、我ながらなかなかセンスのある学生だったじゃないかと思ってます(笑)
その際、いったんは海外に出ることも考えましたが、傍観者として世界を横目で観察することよりも、この国の現実や本当の自分を知りたいという気持ちがより強かったので、あえて海外という選択肢は選びませんでした。

第一線で働く社会の当事者の立場で厳しい現実に真正面から挑むことでこそ、社会の矛盾を知り、困難な状況に追い込まれた時の自分を知れると感じ、選んだベンチャー企業でのインターンでしたが、実際にとても多くの経験を積め、多くのことを学べました。

社会の構造、現実、厳しさ、矛盾を臨場感もって学び、自分自身の根本、資質、好きなこと、嫌いなことを知り、この世界のメカニズムの一端を知ることができました。そして、世界の何を変えたいか、自分にしかできない役割は何かといった志を育み、どういう人間になれば世界を変えられるようになるのか、頭ではなく感覚として理解できたことはとても大きく、経営者として重要な経営判断をする際の礎となっています。

さらに言いますと、単なるインターンではなく、『休学インターン』というのも良かったですね。完全に退路が断てましたから。
人間である以上、いかに志を高く持っていても、挑戦する中で苦しくなったり逃げたくなったりする時は必ず来ます。事実、同じようにインターンにきていた何人かの学生は「理系の自分には営業は向いていなかった」「大学の授業が忙しくなった」「サークルが…」と逃げていきました。

私の場合はどんなに苦しい時でも、もう大学は休学しちゃっていたので戻る場所もないし、そもそも親の反対を押し切って来た以上は、「大きな成果を上げるまでは絶対に岐阜に帰れない」、そんな覚悟を持つことができました。

人間は誰しも弱い部分を持っているのですから、それを前提に退路がない環境を自ら創り果敢に挑むことで、自分の限界を超えた馬力を発揮でき、大きな成長につながっていくのではないかと思います。

意味のない常識や周囲の雰囲気に流されてなんとなく就職するのではなく、一度立ち止まり、社会を知り、己を知り、志を育むことに投資してみてはどうでしょうか。短い目で考えれば焦りを感じるかもしれませんが、長い目で考えれば有意義な投資になると思います。

ITによって個人のパワーが最大化される時代になりました。今ほど社会を変えやすい時代はありません。この世界、日本の大きな変化をチャンスを捉え、勇気をもって自分にしかできない事にチャレンジしてください。

長谷川 敦弥 氏

PRIFILE
1985年岐阜県出身。名古屋大学理学部卒業。 2年時より大学を休学し、ETIC.を通じて東京のITベンチャーにて3年間の長期インターンシップを経験。営業として2億円以上を売り上げ、名古屋事業所の責任者に抜擢される。 大学卒業後の2008年5月、障害者分野の変革を目指す株式会社ウイングルに入社。 2009年8月、弱冠24歳で従業員150名の同社代表取締役社長就任。障害者の失業率は85%、福祉施設で働く障害者の月給は1万2000円という 社会問題を解決すべく、革新的なサービスを業界に次々と投入し改革を実行中。