休学インターン体験談

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13ヶ月前は自分が大嫌いだったけど、今は自分のことが大好きになりました。

高橋 大介さん
獨協大学法学部3年(3年次を休学)
インターン先:NPO法人かものはしプロジェクト

今の自分が本当に嫌になって、だからこそ今の自分を変えたいと強く思うようになりました
なぜ休学しようと思ったのですか?

休学を考え始めたきっかけは震災でした。震災前の話ですが、大学に入ったばかりの頃は、適当にサークルに入って、適当にワイワイ楽しく過ごせればいいな〜なんて思っていました。サークルに入った当初は、高校とは違う環境が楽しかったんですね。

こうした環境で、例えば先輩から就活の話や、将来のためになる話とか聞けたら面白かったと思います。ただ、そんなことはなく、本当にただワイワイしているだけで、自分のためになるようなことがなくて、正直だんだん飽きてきたんですね。そう思ってサークルを辞めて、その後は毎日特に何をするでもなく、別にそれ程のめり込んでいる趣味なんかもなかったから、大学でも家でもろくに勉強もしないダラダラするだけの日々を過ごしていました。大学の授業も出席取る授業だけ出て、出たとしても寝るだけ。テスト直前は勉強するから単位は取れるけど、その場しのぎの勉強で、テスト後は、勉強したことは全部頭の中から抜け落ちる無駄な勉強をしていました。そんなときに起こったのが3月11日の東日本大震災でした。

震災当日、僕は家にいました。家がガタガタと音を立て、電柱がものすごい揺れ方をしていたこと、揺れが収まったあとも、外で子どもが泣いていたのが印象に残っています。テレビをつければ火事の映像。そして津波の映像。

家も、人も、何もかも津波に流れていく、まるで映画のような映像。数日後は原発が爆発する映像。そんな現実を目にして、僕は思いました。東北に住んでいた、自分よりも仕事ができて、夢もあって、本当にかっこいい大勢の方々が亡くなってしまったことが本当に理不尽だと。勉強もろくにせず、夢もなく、何もしていない自分が心底情けなくなって泣いたのを覚えています。人がたくさん死んで、でも自分は何もしてない。何やってんだろうって。

それがきっかけで今の自分が大嫌いになりました。今の自分が本当に嫌になって、だからこそ今の自分を変えたいと強く思うようになりました。

大学ではろくに勉強しないで寝ているだけ。そんな無駄ことをしているくらいだったら1年間休学して、その時間で何かしようと考えました。ただ、休学して何をするかというアイデアは当時はなかったんですね。休学してそのへんぶらぶらしようかなんて、適当なこと考えてました。そうして迷っていた時期に、なんとなく「休学」というキーワードで検索したらETIC.の「戦略的休学インターン」という言葉が目に止まりました。それが僕のインターンの第一歩です。

休学をすることに、迷いはありませんでしたか?

休学することへの戸惑いはありました。家族への負担や、自分の将来の選択として、本当に休学という選択が今必要なのかということも、何度も自問自答しました。しかし、私はインターンの内容にとても惹かれていたし、学生時代にしかできない経験だし、インターン内容と将来の夢との繋がりも見えていたので、休学を選択して臨みました。

休学をするにあたり、何がハードルになりましたか?また、それをどう克服しましたか?

一番は家族への負担です。私の休学という選択は、家族にとっては予期せぬ出来事でした。しかし、自分の中で休学する理由を明確にした上で、両親と話し合い、お互いに分かりあえたので、最終的には休学してインターンに参加することとなりました。

休学をすることに、迷いはありませんでしたか?

迷いは全くなく、休学することは即決しました。休学して今とは違う環境に行かないと自分は何も変わらないだろうなとは思っていて、大きな変化、成長を求めるなら休学した方がいいだろうと。それに休学するといってもたった1年間だけです。今後の長い人生の中で1年間大学に行かなかった時期があった、でもそれがなんだと言うのでしょう。やりたければやればいい。実にシンプルな、それだけの話です。

休学をするにあたり、何がハードルになりましたか?また、それをどう克服しましたか?

特にハードルはなかったんですが、強いて言えば、決して安いとは言えない休学費用くらいでしょうか。でもよく考えてみてください。数十万円で自分の人生が180度変わるチャンスを得ることができるんです。少しくらい高くたってそんなチャンスを得ることができるのであれば安いものです。両親も「そんなにやりたいんだったらやってみれば?」とあっさり承諾してくれました。やっぱり卒業も1年遅れるし、親にも迷惑をかけることになります。それでも承諾してくれたので、両親には本当に感謝しています。

休学中のチャレンジとして、なぜインターンを選んだのですか?

とにかく負荷のかかる過酷なチャレンジの方が成長できると思ったからです。強い雨風は材木を強くすると言いますが、それは人間も同様です。逆境にさらされると人間は成長し、強くなります。だから休学してそういったきつい環境に飛び込もうと考えました。でも、そう考えたときに出てくる選択肢はだいたい留学とかインターンですよね。僕はその2つで迷いました。でも、留学をして英語が喋れるようになったとして、それから自分は何がしたいんだろう、と考えたときに特に何も思い浮かばなかったんですよね。目標があってそのために英語を学ぶのであれば留学でもよかったのですが、"とりあえず留学"ってのは気が進まなかったんです。英語を勉強しようと思えば別に日本でもできますしね。それよりも、起業家の隣で一緒に仕事をしている自分をイメージした方が遙かにワクワクしました。よくわからないけど絶対こっちのほうが楽しいだろうな、という直感でインターンを選択しました。

インターン先、インターン先の事業内容、そこで取り組んだ仕事を教えてください。

NPO法人かものはしプロジェクトは子どもが売られる問題、その中でも特に「児童買春問題」の解決を目指すために活動している国際NGOです。児童買春問題は金銭のやりとりを通じて性的なサービスを子どもに強要させることで、国連の定義の中でも最悪な形態の児童労働であると言われています。主な支援先はカンボジアで、現地では「警察訓練支援」「コミュニティファクトリー経営」「孤児院支援」の3つの事業をおこなっています。(詳しくはこちら http://www.kamonohashi-project.net/activity/)日本では現地が抱える児童買春問題を知ってもらうための広報活動、問題解決を促進するために寄付を募るファンドレイジングの2つの活動をしていて、僕は広報担当を担当していました。メディア対応やWEBの更新、アクセス解析。年次報告書作成に関わったりSNS運用、メルマガ配信、その他にもコーズマーケティングやイベント運営など、幅広く多種多様な仕事を担当させていただけました。いろいろな仕事を経験させてもらったのですが、最終的にはWEB・SNS全般を担当として落ち着きましたね。かものはしが取り組む活動に興味がありそうな人により多くリーチできる施策を考え、リーチしたあと、その人にイベント来てもらいやすいような導線の設置や見せ方を考え実施。実際にやってみてどうだったのかを検証するためにアクセス解析してデータ分析をして、仮説を検証。その上で次はどうしていくか、というサイクルを繰り返すということをメインに担当していました。

インターンをしていて面白かったことや、やりがいを感じたことを教えて下さい。

WEBやSNSを通じて、かものはしが取り組んでいるような活動に興味があるような方々に、どうやってリーチして、その人たちが最も欲している情報を発信していくかを毎日試行錯誤していたこと、それ面白かったですね。僕はそういったWEBマーケティングといった知識は全くなかったので、仕事以外の空いた時間で今の自分の仕事に活かせそうな情報を常にキャッチアップしていたんですね。オフィスから自宅に帰る電車の中で見つけた役に立ちそうだなと思ったことを早速翌日に取り入れたりしてました。常に新しい挑戦ができたし、おもしろい発見がありました。毎日がすごく楽しかったです。

「自分の人格や、今後の人生が、大きく変わる程のインパクトが欲しい」、そう思って毎日がむしゃらにがんばり続けました。

インターンで辛かったことや悔しかったことは何ですか?

インターンを始めた当初、広報関係の業務は自分を含めて4人で担当していたんですね。しかしインターンを始めて4ヶ月くらい経った頃、スタッフが2名退職し、一緒に仕事していたインターン生も学校が始まって忙しくて来られなくなり、もともと自分が担当していた仕事に加え、3人分の広報業務の全てを自分1人でやれなければいけない時期がありました。さすがにすべての仕事を自分で今まで通りに回すことはできなかったので、優先順位の低い仕事は外してもらったり、他の方に手伝ってもらっていました。それでも仕事が終わらずに週3日は泊まるときもあったり、知らないことがたくさんあったから土日も1日中マーケティング事例を調べたり、資料を作っていました。そうやって1週間の間フル稼働してようやくギリギリで回すことができていた状態でした。回すだけで精一杯で、もっと改善しなければいけないことはたくさんあるのはわかっているのに、新しいことは全くできなかったので、それがすごく辛かったです。

仕事を終わらすことに必死になりすぎて、もっと考えればもっと質の高い広報ができたはずなのに、一つひとつの仕事を70%くらい、「こんなもんでいいか」と妥協して次の仕事にとりかかって、それもある程度のところで妥協して…ということを繰り返していました。当時かものはしが発する情報の全てが、自分の手によるものだったと考えると、「かものはしってその程度の団体なんだ」と思われていた可能性があるかもしれません。そうした後悔があったので新しいスタッフ、インターン生が入ってきて、ある程度時間に余裕ができてからは、一つひとつの仕事に本気で納得行くまで取り組むようになりましたね。

学校との両立ではなく、休学して臨んだからこそ、よかったことはなんですか?

休学インターンでよかった点は1年という長い期間、学校の授業やテストを気にすることなくインターンに集中できたことです。インターン以外のことをほとんど考えなくていいというのは思っているよりも大きいです。仕事において、緊急で対応しなくてはいけないことが起きても、授業中だったり課題が立て込んでいると、すぐに対応することはできません。一方休学していれば、常にオフィスにいるので柔軟に対応することができますし、そういった安心感からスタッフも自分に責任のある、おもしろい仕事をたくさん任せてくれるようになります。だからこそ、相当成長ができるし、仕事もやりがいもひと味違います。

また、自分が13ヶ月間という期間インターンに打ち込んだ経験から言うと、やはり学校と両立するよりも休学インターンの成長率は段違いなように感じます。特に6ヶ月目を超えたあたりから、成長スピードが一気に加速し、休学したインターン生はインターン前と見違えるような成長をします。ETIC.を通じてのインターンシッププログラムは「最低半年間」ですが、正直なところ最低1年くらいでちょうどいいのではないかと思います。というのも半年間経ったあたりからようやく仕事に慣れ、これからやってやるぞと思った矢先、卒業になるのです。本当にもったいないと思います。休学にあまり興味がない人も可能であれば休学を考えることをオススメします。

インターンで得たことや、インターンをする前と後で自分が大きく変わったことはなんですか?

長い長いインターン生活を振り返ってみての一番大きな学びは、自分の経験を通じて「夢を実現する力」に発見できたことです。僕は、誰もがどんな夢でも、絶対に実現することができる、そんな強い力を持ってるんじゃないかと思います。夢を実現するために必要なことただひとつ。強い決意だけです。ここで言う決意とは、「どんなに困難な状況であっても決して諦めない気持ち」のことです。

インターンにチャレンジする前は、チャレンジが終わった時に、「こういう自分になっていたい」というイメージがあると思います。僕だったら当時、当時の自分の人格が180度変わるくらいのインパクトが欲しいと考えてました。

「絶対にできる」と考えることができれば、その夢が現実的である限り、絶対にできます。ただし、どんなに簡単なことでも、「自分にはできない」「無理だ」と思った瞬間に、無理難題に見えてくるんですね。だからどんなことでも、「無理だ」なんて思ってはダメですよ。僕は「自分の人格や、今後の人生が、大きく変わる程のインパクトが欲しい」、そう思って毎日がむしゃらにがんばり続けました。ネガティブだった自分は、びっくりするくらいポジティブになりました。消極的だった自分は、とっても積極的で、主体的動けるようになりました。13ヶ月前は自分が大嫌いだったけど、今は自分のことが大好きになりました。そういった部分で、1年間でここまで変われるのかと思うくらい大きく変わったなと自分でも思っています。

成長は向こうからやってくるものではなく、自ら追い求めなければ絶対に手に入らない
インターンを経た今、新たにチャレンジしようと考えていることや、今後のビジョンなどがあれば、教えてください。

インターン卒業から1ヶ月ほど経った、年明けの2月から、別の企業でインターンを開始しました。次のインターン先はPuepleCow株式会社。デザインのクラウドソーシングサービス「designclue」を運営している会社です。インターンをやるにしても、今まで自分がやってきたこととは全く違う業務にチャレンジしてみるという選択肢もあったのですが、かものはしのときと同じく、今回のインターン先でもWEBやSNSを使ったマーケティングをやっていく予定です。なんでこうやってWEBに拘るのかと言うと、かものはしでのインターン中、どうすればより良いWEB運用ができるのかを本気で考え、試行錯誤を繰り返し、バリバリ仕事に取り組みました。それでもWEBで大きな成果を出すことはできなくて、それがめちゃくちゃ悔しかったんですね。今の自分ではこれ以上ないくらい考えたのに、それでもまだまだダメだったのが、悔しいのと同時にムシャクシャしてきて、めちゃくちゃムキになってそれだったらWEB極めてやる!と思ったのが理由ですね(笑)あとは単純にWEBが好きだからっていうのもありますね。インターン先では好きなことをやっているだけなので、ストレス皆無なんですよ。毎日本当に楽しいし、自分のレベルが上がるたびにできることもどんどん増えていく。まだ見えない自分自身の未来がとっても楽しみです。

休学を考えている人にメッセージをお願いします。

あなたは休学をして、休学が終わる頃、どんな自分になっていたいですか?休学の先に求めるものは人によってさまざまだと思います。言い方はいろいろあるにせよ、インターンを経て、圧倒的に成長したいと考えているかと思います。当たり前ですが、成長するためには努力をしなくてはいけません。成長は向こうからやってくるものではなく、自ら追い求めなければ絶対に手に入らないからです。

僕自身、インターン開始前から最後の最後まで「とにかく成長したい」と想い続け、仕事で、よりレベルの高いアウトプットのために、日々スキルを磨き、新たな知識を吸収し続ける「努力」を重ね続けました。相当にきつかったですし、サボりたいなと思ったこともありました。それでもひたすらに、やりすぎなくらいに続けました。結果的に僕は本当に成長したと思っています。今思えば、僕はそれくらいの気持ちで休学インターンにがちょうどいいのではないかと思っています。なぜなら、いい加減な気持ちで成長を追い求めても、大した変化は望むことはできないからです。逆に本気で成長を追い求めるなら、インターンが終わる頃、見違えるように成長した自分に、絶対になることができます。

休学をするか。インターンをするか。それを最終的に決めるのはあなたです。ですが、休学を迷っているくらいなら僕は休学をおすすめします。そして、早速休学を前提に動き出しましょう。インターンしたい企業について調べたり、講演に行ったり。インターン先がなんとなく決まっているなら面接を依頼するのでもいいでしょう。「休学が終わる頃、こんな自分になっていたいな」と、そう考えることは非常に大事ですが、実際に行動し、小さな何かを成し遂げる、それは思い描いただけの、どんなに偉大な計画よりも素晴らしいものです。

高橋大介さん

PRIFILE

  • 所属:獨協大学法学部4年(3年時に休学)
  • インターン先:NPO法人かものはしプロジェクト
  • インターン期間:2011年12月1日〜2012年12月28日

[NPO法人かものはしプロジェクト]
子どもが売られない世界を作るため、寄付・募金・ボランティアの協力によりカンボジア・インドをメインに活動する国際NGO。
http://www.kamonohashi-project.net